・■朝日7月8日 がれき撤去まだ35% 被災3県 焼却施設も未整備
東日本大震災から11日で4ヵ月を迎える被災地に、まだ大量のがれきが残っている。
岩手、宮城、福島の3県から出た2183万トン(推計)のうち、仮置き揚に移されたのは35%の763万トンだけだ。
焼却施設の整備も進まず、3年以内を目標に掲げる最終処分の見通しもたっていない。
朝日新聞が7日までに、3県の沿岸37市町村に聞き取るなどして、がれきを仮置き場に移す作業の進捗状況を集計した。
3県で撤去が最も進んでいるのは446万トンのがれきを抱える岩手県の51・4%。1509万トンと最多の宮城県は31・3%で、228万トンの福島県は26・8%だった。
37市町村のうち、最もがれきが多かったのは宮城県石巻市の616万トン。
同市の年間ごみ処理量の106年分にあたり、岩手県全体一の量を上回る。
このうち被災市町村で最多の89万トンをがれき置き揚に運び込んだが、全体の14%にすぎない。
平地が少ない石巻市では、がれきの仮置き揚不足が深刻だ。
家屋の解体も遅れている。環境省は3月、損滅が大きい家屋の撤去に所有者の承諾は不要との方針を示したが、市は住民とのトラブルを避けるため、同意を得ながら進めている。
仮置き場に集められたがれきは、リサイクルできるものをより分け、木くずなどは焼却揚で処理され、不燃物は埋め立てられる。
岩手県はがれきの半分以上の焼却を民間企業に委託する方針だが、残りを処理する焼却揚の設置場所や設置数は決まっていない。
宮城県は6月中に設置場所を確定する予定だったが、気仙沼市では地権者との調整がつかず、先送りされた。
一方、東京電力福島第一原発事故の影響を受ける福島県の各自治体は、放射性物質が焼却で拡散する恐れがあるとして、がれきの処理を中断している。
6月に環境省から処理方法を示されたものの、焼却灰の処分場所などが決まらず、再開に踏み切れていない。
原発から半径20キロ以内の警戒区域にかかる浪江町や双葉町など5町では、撤去作業にさえ入れていない。
政府は、がれきの処理を3年で終えることを目標に掲げ、処理費6800億円の肩代わりを決めている。
さらに、国が処理を代行できるようにする特例法案を今国会に提出し、復興を後押しする。
環境省は「阪神大震災では、がれきを最終処分するまで3年かかった。
その程度かかるのは仕方がない」とみる。