・原子力資料情報室より
http://www.cnic.jp/
・「原発から出る放射線は、自然放射線よりはるかに少ないから安全です」と、電力会社のパンフレットなどに書かれていますが、これはほんとうですか?
回答者: 原子力資料情報室 掲載日時: 08-May-2007 15:49 自然放射線もがんや遺伝的影響を起こす一因で、無害ではありません。
欧米では、居住空間のラドン濃度の高さが大問題になっています。
ラドンは気体で、肺がんを起こし、たばこの害との相乗効果で、肺がんのほとんどはこの原因によるという説もあるほどです。
避けられる自然放射線については対策をたて、その害を少なくしていこうというのが世界の趨勢です。
しかし、自然放射線からの被曝は、ほとんどの場合避けることはできません。
また、自然放射線と原発からの放射線の量を直接くらべて、原発の安全性の議論などできるはずはありません。
私たちは、避けることのできない自然放射線に加えて、原発からの放射線を浴びることになるのです。くらべてではなく、たし算しなければなりません。
自然、人工どちらの放射線も生体にとって有害なので、被曝はできるだけ避けるというのが放射線に対する考え方の基本です。
量が少ないから人工放射線を許容しようなどというのは大きなまちがいです。
(渡辺美紀子)
以前、新聞で「ほうれん草には放射能が1キロあたり最高222ベクレルふくまれている」というデータを示し、だからチェルノブイリ事故によるセシウム汚染など心配するほどのことはありません、という電力会社の広告を見ましたが、これはどういうことですか?
回答者: 原子力資料情報室 掲載日時: 08-May-2007 16:02 ほうれん草にふくまれているというのは、カリウム40という自然にある放射能のことです。
セシウム137とカリウム40では、出る放射線の性質や人体への影響はまったくちがいます。体内でのとどまり方も異なり、セシウム137の方がずっと大きな被曝となります。
単純にベクレル数で比較することはできないのです。
環境の中に放出されたセシウムなどの放射能は、人体に入るまでに食物連鎖によって複雑な経路をたどります。
たとえば、湖の魚はプランクトンや藻などを通して水中の放射能を濃縮して取り込むので、水の何十倍、何百倍もの濃度になるのです。
私たちが食物を食べることによって受ける自然放射能からの被曝量は、1年間で約0.24ミリシーベルトになるといわれています。
これは避けることのできないものです。
(渡辺美紀子)