家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告12 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4)その他

①主な報告事例

 ◎事例1【原因製品:磁石】


患者: 1歳1ヶ月 男児
症状: 症状特になし
誤飲時の状況: 父親がそばに居たが、1人で遊んでいるうちに磁石を誤飲してしまった。
来院前の処置: 嘔吐させたが、磁石はでてこなかった(磁石が手に触れた)。
受診までの時間: 30分~1時間未満
処置及び経過: X線検査実施、点滴、摘出術
転帰: 帰宅(観察不要)

 ◎事例2【原因製品:プラスチックフィルム片】

患者: 9ヶ月 女児
症状: よだれが多い
誤飲時の状況: 1人で遊んでいて、新しいくつ下の袋及び紙を噛んでいた。
来院前の処置: 吐かせようとした。
受診までの時間: 3時間~4時間未満
処置及び経過: 舌圧子を入れたところ、口の中からプラスチックフィルム片が出てきた。
転帰: 帰宅(観察不要)

 ◎事例3【原因製品:こんにゃく】


患者: 2歳2ヶ月 男児
症状: 呼吸困難、顔色不良、意識障害、四肢脱力
誤飲時の状況: 夕食時にこんにゃくを咽頭に詰まらせた。

約5分後こんにゃくを取り出すも、視線が定まらず、ウトウトしていた。
来院前の処置: こんにゃくを取り出す。
受診までの時間: 30分~1時間未満
処置及び経過: なし
転帰: 帰宅(経過観察)

 ◎事例4【原因製品:日本酒】


患者: 6ヶ月 男児
症状: 症状特になし
誤飲時の状況: 粉ミルクを日本酒に溶いて飲ませてしまった。

気付いたときには、100cc飲んでいた。
来院前の処置: なし
受診までの時間: 1時間半~2時間未満
処置及び経過: なし
転帰: 帰宅(経過観察)

②考察
 平成7年度では、特に重篤な症例はみられなかった。しかし、ゴボウ、こんにゃく等の食品による誤嚥事故は発生しており、その大半において、食品が気道に詰まったなどの呼吸器症状(8件)、アルコール飲料等による循環器症状(3件)等、何らかの症状が認められた。

 食品類による誤嚥事故中、特に気道へ詰まらせた場合には、重篤な症状を引き起こすことがある。

ピーナッツや枝豆は、気道に入りやすい大きさ、形状及び堅さを有しているので、特に2歳未満の乳幼児においては、誤嚥事故の原因となりやすい。

しかもこのような食品は、気道に入った場合、摘出が困難であるため十分注意をする必要があり、乳幼児に食べさせること自体禁忌とされている。

 また、平成7年度の報告では、子供にミルクを与えるときに、日本酒または漂白剤を薄めた液で溶いて与えてしまった事例があった。アルコール飲料の誤飲事故では循環器症状がみられたり、漂白剤の誤飲事故では化学熱傷を起こすことがあることから、保護者自身が十分注意する必要があり、子供にミルクなどを与える前には親が確認することも必要と思われる。

 その他、重篤な症例ではないが、猫の糞や観葉植物などの誤飲事故が起こっていることなどから、家庭内外にあるものは、そのほとんどが子供の誤飲の対象物となる可能性があり、子供のいる家庭においては保護者の配慮が必要である。

 また、平成7年度の報告にはなかったが、こんにゃくゼリーの誤嚥による死亡事故が発生している。こんにゃくのようなものは、噛み切りにくく、いったん気道へ詰まってしまうと、重篤な呼吸器障害につながるおそれもある(事例3)。

 さらに、誤飲後、誤飲製品が胃内まで到達すれば、いずれ排泄されると考えられることから問題はないとする考え方もあるが、ボタン型電池が腸内壁に張り付き穿孔してしまったり、硬貨が胃内から排泄されない場合もあることから、確実に排泄されたことを確認することが必要である。

 その他、平成7年度の報告の中には、事例2のようにプラスチックフィルム片等の誤飲事故の報告も5件あった。

プリン容器のフタやプラスチックフィルム片など、子供が口の中に入れて噛んでるうちに飲み込んでしまうことがあり、これらが気道を塞ぎ呼吸困難など重篤な結果をまねくおそれがあることから、子供がプラスチックフィルム片等を手にしないよう保護者は十分配慮することが必要である。