・3)原因製品別考察
1)タバコ
①主な報告事例
◎事例1【原因製品:タバコ】
患者: 9ヶ月 女児
症状: チアノーゼ、悪心、嘔吐
誤飲時の状況: 兄と2人で居間にいた。
棚に置いてあったタバコの箱からタバコを取り出して口にしていた。
母親は台所にいて、居間に入ってきて気づく。
来院前の処置: 指を入れて吐かせた。
受診までの時間: 2時間~3時間未満
処置及び経過: 胃洗浄
転帰: 帰宅(経過観察)
◎事例2【原因製品:タバコ吸殻】
患者: 8ヶ月 女児
症状: 悪心、嘔吐
誤飲時の状況: 居間のテーブルの上にあった吸殻を1本食べた。
来院前の処置: 嘔吐させた。(タバコの葉が出た。)
受診までの時間: 3時間~4時間未満
処置及び経過: 胃洗浄、点滴
転帰: 帰宅(経過観察)
◎事例3【原因製品:タバコを浸した溶液】
患者: 1歳11ヶ月 男児
症状: 特になし
誤飲時の状況: 空き缶の中にタバコを入れておいたら患児が飲んだ。
来院前の処置: 麦茶を飲ませて吐かせた。
受診までの時間: 30分~1時間未満
処置及び経過: 胃洗浄
転帰: 帰宅(観察不要)
②考察
平成7年度におけるタバコに関する報告件数は433件(54%)であり、前年度345件(51%)をやや上回り、全報告の半数以上を占めている。
年齢については、ハイハイやつかまり立ちをする6~11ヶ月の乳児による事故が320件(74%)であり、12~17ヶ月の幼児とあわせると93%を占めた。
この中には、保護者が近くに居ながら発生した事例も多くみられた。
症状の認められた66件中、消化器症状が認められていたものが46件と最も多かったが、433件中特に重篤な事例はなく、ほとんどが受診後帰宅している。
応急処置を行った事例は、220件(51%)であり、何も飲ませずに「吐かせた」及び「吐かせようとした」事例が、あわせて121件と最も多かった。
タバコの誤飲事故の大半は、自分で動き回り始める1歳前後の乳幼児にみられることから、この年齢の子供をもつ保護者は、タバコ、灰皿及び灰皿に使用した飲料の空き缶等を、子供の手の届く床の上やテーブルの上等に放置しないことなど、その取り扱いや置き場所に細心の注意を払うことが必要である。