・4)スポーツ用品
①主な報告事例
◎事例1【原因製品:ゴルフクラブ】
患者: 60歳 男性
症状: ゴルフのクラブを変更したところ、1カ月後、両手に皮疹出現。両手の腹側に皮膚炎。
障害の種類: 手の湿疹(湿潤型)
推定原因物質: クロム、MBT(パッチテスト結果:MBT*(++)、重クロム酸カリウム(+))
治療・処置: ステロイド剤外用、ゴルフグリップの変更、グローブの合成皮革への変更
*MBT:メルカプトベンゾチアゾール
◎事例2【原因製品:水泳用ゴーグル】
患者: 48歳 女性
症状: 受診の3日前より、両眼周囲に痒みのある皮疹が出現。
原因として思い当たるものは、1年以上前から使用しているゴーグルの曇り止めであるとのこと。
障害の種類: アレルギー性接触皮膚炎
推定原因物質: 水泳用ゴーグルの曇り止め剤(パッチテスト結果:曇り止め剤(+)、ラノリンアルコール(+))
治療・処置: 抗アレルギー薬内服、ステロイド剤外用
②考察
平成7年度のスポーツ用品に関する報告件数は18件(6.6%)であり、前年度9件(2.8%)より増加している(表3)。
原因製品別の内訳は、水泳用またはスキー用ゴーグルが6件、ゴルフクラブが6件、ゴルフ用またはラケットボール用手袋が5件、リストバンドが1件であった。
そのうち、水泳用ゴーグルに使用された曇り止めスプレーが原因の1つと考えられた事例が1件あった。
障害の種類は、18件中11件がアレルギー性接触皮膚炎であり、その大半はゴム(合成ゴムを含む)が原因であると考えられる。
なお、スポーツ用品に使われている接着剤が原因となる場合もあることから、注意が必要である。
スポーツ用品は、運動による発汗時の使用を前提としている製品であるので、製造業者においては、製品開発に当たって特に厳格な安全性の確認が望まれる。
また、健康被害が発症した場合は、専門医の診療を受け、指示に従うことが必要である。