・3)時計バンド
①主な報告事例
◎事例1【原因製品:腕時計バンド(金属製)】
患者: 32歳 男性
症状: 受診の4~5年前より暑いと金属性の時計でかぶれるようになった。
冬でも、赤くなるようになったため受診。
障害の種類: アレルギー性接触皮膚炎
推定原因物質: ニッケル(パッチテスト結果:硫酸ニッケル(+++)、時計の鎖(++)、塩化パラジウム(++)、塩化コバルト(+)、その他の金属及び時計の裏蓋(-))
治療・処置: 素材の違うものに変更するよう指導
◎事例2【原因製品:腕時計バンド(革製)】
患者: 61歳 男性
症状: 受診の1年前より腕時計のバンドを鎖から革ベルトに変更したところ、左手関節部に紅斑が出現。
左右交互につけたため、左右両方に同様の皮疹が出現。徐々に皮疹が増悪し、浸出液を伴うようになった。
障害の種類: アレルギー性接触皮膚炎
推定原因物質: クロム(パッチテスト結果:重クロム酸カリウム(+))
治療・処置: ステロイド剤外用
②考察
平成7年度における時計バンドに関する報告件数は27件(9.9%)であり、前年度24件(7.6%)より増加している(表3)。
原因となった素材別の内訳は、金属バンド14件、革バンド8件、ゴムバンド2件、革及び金属バンド1件、不明2件であった。
このうち、10件についてパッチテストを行っており、金属バンドが原因とされる症例では8件についてその結果が報告されている。
その中では、ニッケルが原因の1つと考えられるものが最も多く、次いで、コバルト、クロムであった。
障害の種類は、アレルギー性接触皮膚炎が26件(96%)と大半を占めた。
防止策としては、症状が発現した場合には、別の素材のものに変更することなどが必要である。
また、金属バンド等でアレルギー症状が発現した場合には、イヤリング、ピアス、ネックレス等の他の金属製品についても注意することが必要である。