家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・報告結果
 平成7年度の報告件数は1, 045件であり、そのうち皮膚科領域の報告は242件、小児科領域の報告は803件であった。

前年度は皮膚科283件、小児科671件であり、皮膚科領域の報告件数は減少し、小児科領域の報告件数は増加した。
また、皮膚科領域においては、複数の家庭用品が原因と考えられた報告が含まれており、家庭用品の種類別の集計では、おのおの別個に計上しているため、のべ報告件数は274件となった。
なお、これらの健康被害は、患者主訴、症状、その経過及び発現部位等により家庭用品によるものであると推定されたものであるが、因果関係が明白でないものも含まれている。

1. 皮膚科

(1)平成7年度の動向

① 原因と推定された家庭用品をカテゴリー別に見ると、前年度同様、装飾品等の「身の回り品」の報告件数が最も多く101件であり、次いで、スポーツ用品等の「その他」が76件であった。

全報告件数に対する各カテゴリー別の割合は、「家庭用化学製品」が前年度より約9%減少している。

 なお、「衣料品」の割合は、昭和62年度から平成元年度にかけて18%~20%で推移していたが、その当時に比べると、近年はその割合が低下している。

② 家庭用品の種類別では「装飾品」が56件(20%)で最も多く、次いで「洗剤」が48件(18%)、「時計バンド」が27件(9.9%)、「ゴム手袋・ビニール手袋」が25件(9.1%)、「スポーツ用品」が18件(6.6%)の順であった。

③ 平成7年度の報告件数上位10品目については、[装飾品」、「時計バンド」、「ゴム手袋・ビニール手袋」、「スポーツ用品」等に関する報告が、前年度より全報告件数に占める割合が増加している。一方、「洗剤*」、「ナイロンタオル」、「めがね」及び「洗浄剤**」に関する報告は、その割合が減少している。


* :「洗 剤」:洗濯用及び野菜、食器等を洗う台所用洗剤
**:「洗浄剤」:トイレ、風呂等の住居用洗浄剤

④ 上位10品目の全報告件数に占める割合について、長期的な傾向をみると、「洗剤」の割合が減少傾向にある一方、「装飾品」の割合が増加傾向を示している(図1)。
(2)要因別の解析

① 患者の性別では女性が182件(75%)と大半を占め、特に20代の女性が68件と全体の28%を占めた。これは例年と同様の傾向である。

② 障害の種類としては、「アレルギー性接触皮膚炎」が138件(57%)と最も多く、次いで「湿潤型の手の湿疹」33件(14%)、「刺激性皮膚炎」32件(13%)、「KTPP*型の  手の湿疹」23件(9.5%)の順であった。


*:KTPP(keratodermia tylodes palmares progressiva:進行性指掌角皮症)
皮膚疾患の1種で、水等の外的刺激により、まず、利き手から始まる。皮面乾燥し、落屑、小亀裂を生じ、手掌に及ぶ。程度が進むにつれて角質の肥厚を伴う。(出典:医学大事典〔南山堂〕)

③ 症状の転帰については、「全治」と「軽快」を合計すると154件(64%)であった。なお、「不明」が68件(28%)あったが、このように「不明」が多い理由としては、症状が軽快した場合、患者自身の判断で受診を打ち切り、途中から受診しなくなることがあるためと考えられる。