・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム2
サイトカイン/ケモカインおよび化学伝達物質1
座長:石井芳樹1), 中尾篤人2)(獨協医科大学内科学呼吸器・アレルギー1), 山梨大学医学部免疫学2))
MS2-8.低濃度トルエン曝露に感受性の高いマウスの肺における炎症反応とTLR4との関連
藤巻秀和
国立環境研究所環境リスク研究センター
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【目的】これまでの研究で,低濃度トルエン吸入曝露に対してH-2kのマウス系統で肺における炎症反応や脾臓における転写因子遺伝子の発現が鋭敏に変動する結果が得られており,比較的感受性が高いことが示唆された.
そこで,H-2kでTLR4が正常なC3H/HeNマウスとTLR4(*TLR4(Toll様受容体4、英:Toll-like receptor 4)は病原体に特徴的な分子を認識するToll様受容体の1つで、グラム陰性菌の外膜の成分であるリポ多糖(LPS)やグラム陽性菌のペプチドグリカン層にあるリポテイコ酸をリガンドとして認識する受容体である。
通常の免疫反応に関わる一方で、リガンドが多すぎる場合には細菌性ショック(敗血症)を起こしうる。)欠陥を示すC3H/HeJマウスを用いてトルエン曝露による肺における炎症反応へのTLR4の関与について検討した.
【材料・方法】C3H/HeNおよびC3H/HeJの2系統の8週齢,雄性マウスを実験に供した.トルエン曝露を0,5,50,500ppm濃度で1日昼間6時間,週5日間,3週間あるいは6週間の吸入曝露を実施した.肺における炎症反応は,real-time PCR法,ELISA法,病理組織学的手法で検討した.
【結果】C3H/HeNマウスへのトルエン曝露では,TNF-αmRNA発現の抑制,TGF-β及びHO-1mRNA発現の増強が認められた.一方,C3H/HeJマウスではトルエン曝露によりCCL3のmRNA発現の低下がみられたが,TNF-α,TGF-β及びHO-1mRNAに変化はみられなかった.
【結語】トルエン曝露による肺での炎症反応誘導において,TLR4欠陥マウスは,TLR4正常マウスに比べより軽度な反応を示した.共同研究者:嵐谷奎一,吉田安宏(産業医科大学),欅田尚樹(国立保健医療科学院)
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催
runより:この記事は内容よりトルエンで肺炎を起こす事が重要と思い掲載しました。