・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム41
マスト細胞・好塩基球とアレルギー病態1
座長:木村輝明1), 岡山吉道2)(昭和大学医学部呼吸器・アレルギー内科1), 日本大学大学院医学研究科系分子細胞免疫・アレルギー学2))
MS41-4.ホルムアルデヒド胎児期曝露の次世代影響:肥満細胞の解析
野口順子1) 杉浦 勉1) 丁 寧1) 山下優毅1) 欅田尚樹2) 吉田安宏1)
産業医科大学医学部免疫学・寄生虫学1) 国立保健医療科学院生活環境部2)
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【目的】胎児期曝露と幼児期の生体応答を評価するための実験系を構築しその生体影響を解析した.
【方法】ホルムアルデヒド(室内環境許容濃度:80ppb)による胎児期曝露をマウスを用いて行い,胎児期曝露モデルマウスを作成した.
胎児期曝露マウスと対照群マウスの骨髄細胞から肥満細胞を分化誘導し,FcεRIを介した抗原刺激による脱顆粒反応,サイトカイン,PGD2の産生能を比較検討し,肥満細胞の応答の違いを解調べた.
【結果】得られた骨髄細胞中のCD34(CD34 【多能性造血幹細胞】 CD34抗原は、分子量約110kDaの単鎖膜貫通型リン酸化糖タンパクです。
細胞外部に構造の異なる2つのドメインがあります。
そのうち、膜近傍領域は、アミノ酸約110個の大きさで、球状構造をとっています。
もう一方のNH2末端領域は、アミノ酸約140個の大きさで、N-結合型糖鎖とシアル酸を含むO-結合型糖鎖が数多く付加しており、ムチン様の糖タンパクに典型的な、伸びた棒状の構造をしています。
CD34抗原は、最も未分化な多能性幹細胞と全細胞系統の造血前駆細胞に発現します。
CD34抗原の発現は、最も未分化の幹細胞で最も高く、各細胞系統に分化するに従って徐々に失われていきます。
またCD34抗原は毛細血管内皮細胞や骨髄ストローマ細胞にも検出されています。
正常な造血過程では、細胞の系統分化や成熟度に応じて、糖鎖に変異がおこると考えられています。)+細胞数が曝露群で顕著に増加していた.
肥満細胞における,アレルギー性炎症の増悪因子であるPGD2,histamineや,Th2応答を亢進させるIL-6,IL-13の産生が曝露群で増加を認めた.
【考察】化学物質による胎児期曝露を受けた個体の骨髄細胞においてCD34+細胞の増加が観察された.
このことはより未熟な細胞に対し,化学物質の影響が及ぶことが示唆された.さらにその影響は骨髄細胞から分化誘導した肥満細胞においても観察された.
CD34+細胞はアレルギー性炎症の重要なエフェクター細胞となることが報告されていることと併せ,胎児期における化学物質の曝露は個体においてallergy-sensitive(アレルギー過敏性)な方向性をもたらすことが示唆された.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催
runより:ホルムアルデヒドが胎児のアレルギー要素を作るという事です。
こんなもん無くなればいいのに・・・