・以下は、ネットに掲載されていた「無人ヘリコプターの農薬」[提供(社)農林水産航空協会]から引用したもの。
3.中毒症状の観察
農薬中毒では,系統ごとに特徴のある症状が現れるので,症状をよく観察することが大切です。
多くの農薬は神経系に対する障害作用が強いので,特に,神経学的な面からの観察が重要です。
(1)意識障害
中毒の重症度を判定するために必要です。
(2)筋線維性れん縮およびその他のけいれん
筋線維性れん縮は有機りん剤およびカーバメート剤中毒に,てんかん様のけいれん発作は有機塩素剤および有機ふっ素剤による中毒によくみられます。
(3)呼吸抑制
有機りん剤およびカーバメート剤中毒では,呼吸抑制,突然の呼吸停止が生ずることがあります。
(4)末梢神経麻痺
重症の有機りん剤中毒で,知覚や運動の抹消神経麻痺が持続することがまれにあります。
(5)唾液分泌過多,発汗
副交換神経興奮症状は,有機りん剤,カーバメート剤および硫酸ニコチン剤の中毒の場合にみられます。また著しい多汗だけが観察されるのは,ニトロフェノール剤やPCP剤による中毒などの特徴です。
(6)不 整 脈
有機ふっ素剤による中毒の場合によくおこります。
(7)眼 症 状
著明な縮瞳があれば,有機りん剤かカーバメート剤による中毒の可能性があります。
有機塩素剤などによるものでは散瞳気味となります。
局所刺激症状では,クロルピクリン剤やブラストサイジン剤などが眼に入って眼痛,流涙,眼粘膜の炎症をおこすことがあります。
また臭化メチル剤では,複視,視野狭さくをおこすことがあります。
(8)咳,喀 痰
刺激性物質の吸入によっておこります。
有機塩素剤,クロルピクリン剤,臭化メチル剤などで出現します。
(9)皮膚症状
痛痒感を伴うかぶれ,発赤,軽度の腫張などがみられることがあります。
クロルピクリン剤,臭化メチル剤などでは水疱,びらんをおこすことがあります。
石油系溶媒を含む乳剤などでは一般的に発赤を示すことがあります。
(10)嘔吐,下痢,腹痛,咽頭痛,頭痛
多くの農薬中毒にみられます。
農薬は、散布する側にとってもたいへんな危険を伴う作業になっていることがよくわかる。