「無計画停電」から「戦略的エネルギーシフト」へ9 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・(3) 「我慢の節電」から「無理のない節電」へ
現状、広範囲の節電努力でおよそ数百万kW 前後もの節電効果をあげていることは大きな成果であるものの、全体としてはかなり無理や不便を強いる、いわば「我慢の節電」の側面が強い。

今後、この「我慢の節電」から、利便性を大きく損なわない、無理のない節電へと切り替える必要がある。
① 工場および業務ビル
工場、業務ビル共、エネルギー効率を上げて省エネルギー・省電力を図ることができる。

工場は廃熱利用の徹底・高効率機器の導入などにより、業務ビルは断熱建築、高効率機器の導入、インバーター化、オーバースペック設備の排除、明るすぎる照明の排除などにより、多くの削減余地がある。

最近建設された都心の業務ビルが、既存のビルよりも床面積比エネルギー消費量やCO2 排出量が3倍も多いことも東京都の計画書制度で明らかになっている。
工場も含め、2020 年には全ての事業所が、断熱性能やエネルギー多消費設備・機器において「利用可能な最良の技術」を導入し、省エネ・温暖化対策「トップランナー施設」になるように計画的に設備投資を進めることが必要だ。

それには、計画書制度や公表制度(床面積原単位を含む)を事業所単位で全国に広げ、東京都のような削減義務化政策を広げると共に、省エネ診断でどこで対策をすると削減できるかを具体的に把握させることも重要だ。
② 家庭および中小業務ビル
家庭や中小業務についても対策は同様だが、ここにはエネルギー管理のプロが不在であるため、政策としては家庭の啓発だけでは不十分である。

新築住宅の断熱規制による暖房エネルギー削減、エアコンを含む各種電気機器の省エネ規制強化や小型化、実態と離れていると言われるエアコンの
規制内容の修正などで、エネルギー管理に疎い家庭や中小業務に提供される建築やエネルギー多消費機器は全て省エネ製品とすることが必要である。
③ 非効率な電気暖房・電気温水器の追放
とくに「電気ノコギリでバターを切る」と表現される電気暖房機や電気温水器(ヒーター型)などは、使用禁止を呼びかけるとともに、今後は製造・販売の抑制や禁止を視野に入れるべきである。
(4) 自然エネルギーの加速度的な普及拡大
今後の電力源の主力は、省エネ・節電と並んで、自然エネルギー以外の選択肢はない。

すでに海外では、農業革命・産業革命・IT 革命に続く「第4の革命」と呼ばれるほどの急成長を遂げつつあり、日本はその流れから、完全に取り残されていた。

今回の原発事故は、その流れを逆転する好機となる。
図3.5:世界の自然エネルギーの加速度的な拡大(世界全体の単年度の正味増減) 図をクリックして拡大してご覧下さい

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・自然エネルギーの普及は、極めて短期間で実現に結びつけることができるため、震災復興の経済刺激策としても、またエネルギーリスクや温暖化対策としても、極めて有効となる。また、PC や携帯電話、液晶テレビと同じ小規模分散型技術の特徴として、「普及すればするほど性能が上がり、安くなる」という効
果がある。

つまり、過去の10 年よりもこれからの10 年の方が、はるかに普及のペースを加速することができ、同時に導入費用も安くなる。
目標とする水準は、ドイツが参考となる。ドイツは、電力に占める自然エネルギーの比率を、過去の10年で6%から16%に10 ポイント高めたが、今後の10 年で16%から35%へとおよそ20 ポイントも高める目標を持っている。

また、2050 年には電力を自然エネルギーですべて賄うシナリオも政府機関から提示されている(「自然エネルギー白書2011」参照
http://www.re-policy.jp/jrepp/JSR2011/ )。
そこで日本でも、現在およそ10%の自然エネルギー比率(大規模水力を含む)を、これからの10 年で30%へと20 ポイント高めるという政治目標を掲げることを提案する(表3.1)。

この30%という自然エネルギーの比率は2020 年の電力量をベースにすると37%に相当し、実質的にドイツを超える目標となる。
表3.1:自然エネルギー拡大目標の検討(電力量に占める割合)

図をクリックして拡大してご覧下さい

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・なお、これを実現するための施策として、送電線の整備や優先接続の義務付け、震災日に閣議決定された全量買取制度の全面的な強化など、さまざまの措置が必要だが、それは今後のレポートに譲る。