・バイナリーサイクル [編集]地下の温度や圧力が低く熱水しか得られない場合でも、アンモニアやペンタン・フロンなど水よりも低沸点の媒体(これを低沸点流体という)を、熱水で沸騰させタービンを回して発電させることができる場合がある。
これをバイナリー発電(binary cycle)という[4]。
日本ではイスラエルのオーマット社製のペンタンを利用した発電設備が八丁原発電所で採用されている。
高温岩体発電 [編集]天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電(hot dry rock geothermal power; HDR)の技術も開発されている[8]。
地熱利用の機会を拡大する技術として期待されている[2]。 既存の温水資源を利用せず温泉などとも競合しにくい技術とされ、38GW以上(大型の原子力発電所40基弱に相当)におよぶ資源量が国内で利用可能と見られている[2]。多くの技術的課題は解決しているとされ、また現在の技術ならばコストも9.0円/kWhまで低減する可能性が指摘されている[2]。
googleがオーストラリアのベンチャー企業に100万ドルを出資して話題になった。
温泉水温度差発電 [編集]比較的高温(例えば70~120℃)の温泉の熱を浴用等に適した50℃程度の温度に下げる際、余剰の熱エネルギーを利用して発電する方式である[4][9]。温泉発電とも呼ばれる。
マグマ発電 [編集]さらに将来の構想として、マグマだまり近傍の高熱を利用するマグマ発電の検討が行われている。
開発に少なくとも50年はかかると言われる[10]が、潜在資源量は60億kW(6000GW)におよぶ[2]と見積もられ、これを用いると日本の全電力需要の3倍近くを賄えるだろうと言われている[10]。
技術 [編集] 井戸 [編集]蒸気を採取するための坑井(蒸気井)の深さは、地下の構造や水分量などによって異なり、数10mから3,000mを超えるものまでさまざまである[11]。
通常は1km以上3km以下である[12]。
蒸気発電およびバイナリー発電では、発電に使った蒸気(復水器で凝縮されて水になる)や余った熱水を地表に放出・放流させると地下の蒸気や熱水が枯渇してしまうおそれがある。
また、熱水に含まれる金属などの成分が、河川や湖沼の水質に影響を与えることも懸念される。
そのため、発電に使用した後の蒸気や熱水は坑井(井戸)を通じて地下に戻すことが行われる。
これを還元という。
還元用の井戸(還元井、かんげんせい)は蒸気井よりも浅いことが多い。還元井は当初から還元井として掘削される他に、勢いの衰えた蒸気井が転用されることもある。
一方、還元する量が多すぎたり場所が悪かったりすると、地中の温度を下げたり、地中の蒸気や熱水の流れを乱してしまい、発電に利用可能な蒸気や熱水が得られなくなることがあるため、還元の際は適切な場所や量を選定する必要がある。