・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム21
アトピー性皮膚炎―病態生理と治療2
座長:相原道子1), 相場節也2), 中川秀己3)(横浜市立大学医学部皮膚科1), 東北大学病院皮膚科2), 東京慈恵会医科大学皮膚科3))
MS21-#4.乳児期アトピー性皮膚炎発症と出産までの母体因子の関連
鈴木修一1) 下条直樹2) 森田慶紀2) 河田 誠3) 河野陽一2)
国立病院機構下志津病院アレルギー科1) 千葉大学大学院医学研究院小児病態学2) JFE健康保険組合川鉄千葉病院3)
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【背景と目的】乳児期アトピー性皮膚炎(AD)発症には遺伝的素因だけでなく,出産までの環境要因や母親の生活習慣が関与する可能性がある.
しかし母親の生活習慣に着目した研究はまだ少ない.
この研究では,生後7か月までのAD発症に関連する母親の生活習慣を明らかにすることを目的とした.
【方法】当科関連施設にて出産までに同意の得られた妊婦と乳児180組を対象に,妊娠中の母親の食事や睡眠などの生活習慣やストレスにつき出産時に,AD発症の有無につき生後1,4,7か月時に,質問票にて尋ねた.
【結果】生後7か月までのAD発症は47名(26%)に認められた.
AD群では非AD群よりも高率であった因子は,母親のAD歴(31% vs.17%),母親が非母乳栄養で育った(83% vs. 66%),妊娠中に強いストレスを感じていた(40% vs. 25%),妊娠前の便秘(22% vs. 5%)であった.
ロジスティック回帰分析により,母親のAD歴(補正オッズ比3.6),妊娠前の便秘(同4.6)が有意な因子として抽出された.
【結論】乳児期ADの発症には母親の遺伝的因子のみならず,生活習慣関連因子も関与することが示唆された.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催