・2 学校施設の一部改修
学校施設の一部改修は,地方自治法に定める金額(130 万円未満)の場合であり,教育政策課学校施設担当で所管している修繕であるが,使用する建材等の選定は,汚染化学物質を含まない,あるいは放散量が少ないものの使用を,さらに汚染化学物質の発生のおそれがある場合は室内濃度の測定検査の義務化と,基準値若しくは指針値以下でなければ引渡しを受けないことを明確化するなど,対策会議の意見を聞きながら,対策仕様書にある新築・改築の場合に準じた取扱いとすること。
なお,床の張り替え,壁の補修などの改修の場合にあっても,可能な限り使用材料の化学物質等安全データシート等を取り寄せるなど,有害な化学物質を含まないことの確認を行い,施工中の換気などにも留意しながら実施すること。
3 学校施設の供用開始の時期
新築・改築及び一部改修後の施設の供用開始については,有害な化学物質の測定値が基準値若しくは指針値以下であっても健康への影響が発生しないとは限らないことから,使用するまでは換気(資料編45ページ参照)の徹底を図り,養生及び乾燥のための期間を十分設定するなど,安全確保に万全を期すこと。
新築・改築時に仮設校舎として設置するプレハブ校舎についても同様の取扱いとし,工期設定などにも配慮すること。
4 学校用備品及び教材等の選定
新たに机,いす等の木製品及びコンピュータ等の学校用備品を購入する際は,可能な限り当該品の化学物質等安全データシート*等を取り寄せるなど,対策仕様書に基づいた材料等が使用され,化学物質を含まないことの確認を行うとともに,化学物質の発生のおそれがある場合は室内濃度の測定検査を「学校環境衛生基準」に基づき実施し,基準値以下であることを確認した上で使用すること。
特に,机・いすについては,日本工業規格(JIS),日本農林規格(JAS)及びグリーン購入法(国等による環境物品の調達の推進に関する法律)に基づく基本方針の中で,材料の合板や繊維板,塗料及び接着剤のホルムアルデヒド放散量について,一定量以下の放散量(0.5mg/L)となるように規定されていることから,これらの規格に適合するものを選定すること。
なお,教材等にも化学物質が含まれている場合があり,工作用の糊や接着剤も,ノンホルム,ノントルエン,ノンキシレンタイプなど,有害化学物質を含まないものを選定するなど,教材の選定等にも配慮すること。
インク・プリント類・図画工作の教材・技術家庭科における加工作業での使用材料などは,特に注意を払って選定することとし,購入後は安全な保管に努めるとともに,化学物質の揮発を促すために,換気の良い部屋で一定期間保管後使用するなどの配慮をすること。
また,溶剤等を含む文具・教材等を使用する際には,窓を開けるなど換気に十分配慮すること。
5 保護者の理解と協力
(1) 学校だより・保健だよりなどによって,定期的・臨時的に行なわれる化学物質の測定検査の結果や症状例・症状の緩和方法などを,適宜保護者へ情報提供することにより,シックスクール症候群に関する理解を深めてもらう。
(2) シックスクール症候群の発生のおそれがある場合などは,学校は保護者への説明を行うとともに,その対応等について学校保健委員会,PTA等と適宜協議する。
(3) 家庭生活の中においても児童生徒の健康に留意するよう周知すると共に,参観日・運動会・学芸会などの学校行事では香水・化粧品を控えるなど,理解と協力を求める。
(4) 児童生徒の健康観察は,校内での把握には限界があることから,兆候の発現段階でそれを見過ごすことのないように保護者との連携を強化し,体調不良などの兆候や症状が把握された場合は,適切な措置を講じ,健康への影響の拡大を防ぐことが重要である。
6 健康調査・健康相談(資料編33~37ページ参照)
日ごろから児童生徒の健康状態を把握しておくことは,シックスクール対策に限らず必要なことであるが,アレルギー性の疾患は有害な化学物質との関わりが強く,症状が治まっている状態であっても誘発して悪化するケースもあり,日常的に健康観察を行い,行動や体調の変化を把握することが重要である。
学校施設の新築等による移転前の健康調査では,アレルギー性疾患の状況,家庭環境などにより化学物質がどの程度健康に影響しているかの実態を把握するとともに,原因が特定される場合は,その児童生徒の健康状態に沿った学校生活が送ることができる環境を整える必要がある。
その際には,学校医及び主治医とも相談し,必要に応じて保護者も含めた健康相談を実施し,当該児童生徒に適した個別対応を考慮すること。
移転後の健康調査は,移転前との体調等の変化の把握が必要であり,また定期検査において基準値を超えた学校にあっては,定期健康診断のデータをもとに,「健康調査票(事後用)」により定期検査前との体調変化等を把握し,シックスクール症候群と思われる症状若しくは兆候が発見された場合は,学校医と相談して症状の改善を図るとともに,教室の変更など,症状の度合い・発症者数などに相応した対応を図ること。
(「健康調査票」を用い,定期的に実施すること。)学校職員などの健康調査なども適宜行なうとともに,健康管理医との連携を図りながら,意識啓発を図り,健康チェック・健康管理は自ら行なうなど,ひいては児童生徒の健康への影響を防ぐ手段ともなり得ることから,シックスクールに対する理解を深める
とともに,意識の高揚を図ることが必要である。
なお,シックスクール症候群と思われる症状若しくは兆候が発見された場合は,学校保健課に速報すること。