・(4) 引渡し時
引渡し前に都市建築部は,汚染化学物質等の濃度測定を行い,対策仕様書に基づいた指針値以下であることを確認して市教委に引き渡すものとする。
指針値を上回っている場合は,再換気・ベイクアウト等の低減処置を講じ,改めて濃度測定を行い,指針値が下回っていることを確認して引き渡すものとする。
なお,ベイクアウト*は建物駆体く たい(壁や柱)の蓄熱により,化学物質濃度の測定に影響を及ぼすこともあり,ベイクアウト実施日と測定日とは一定期間空けることが必要である。
また,室内空気汚染対策は,日常的な換気や適切な保守管理が必要であることから,施設管理者等に注意を喚起する。
(5) 施設管理者等が実施すべき事項
① 日常における換気についての留意点
ア 外界条件(気温,臭気や排気ガス等の外気の質)にもよるが,日常的に窓を開放し,自然換気を積極的に取り入れる。
イ 吸気口がある場合は,できるだけ開放状態にしておく。
ウ 室内ドアを開放して通気径路を確保するよう心がける。
エ 窓を閉め切っている場合は,通気径路を確保しつつ適時に換気扇を運転して換気量を確保する。
オ 数日間にわたって使用しなかった部屋などは,特に換気に留意する。
カ 機械換気用フィルターは,決められた使用期間に従って交換する。
キ 清掃材・芳香剤・殺虫剤等の一般生活普及品にも揮発性有機化合物が含まれていることから,なるべく使用しないことが望ましいが,これらを使用する際には通風や換気等を行う。
② 家具・備品等の選定・搬入等
ア 新たに家具・備品等を購入する場合は,可能な限り当該品の化学物質等安全データシート等の提出を求め,対策仕様書に基づいた材料等が使用されていることを確認する。
イ 家具・備品等は,施設への搬入前に一定の期間を設けて汚染化学物質等の放散を行ってから搬入する。
③ 使用開始前の揮発性有機化合物等の濃度測定
家具・備品・カーテン・調度品等は,新品,既存使用品にかかわらず,汚染化
学物質物等を放散しているおそれがあることから,それらの品を搬入した後には,使用するときと同じ状態にして,濃度測定を行い,対策仕様書に基づいた指針値以下であることを確認する必要がある。
濃度測定に当たっては,市教委関係課や学校薬剤師と協議して実施することとし,指針値を上回った場合は対策会議に報告するとともに,再測定・低減対策適切な対応を図ること。
(6) その他
対策仕様書については,材料・機器等の改善等により,必要に応じて改訂されることから,最新の対策仕様書によること。
(7) 学校施設における室内濃度検査と判定基準
「学校環境衛生基準」には,新築・改築・改修等を行った際,揮発性有機化合物の臨時検査について規定していることから,室内濃度の検査の義務化と,判定基準(以下「基準値」という。)以下でなければ引渡しを受けないこととし,前述の(1)~(6)
の事項と整合性を保ちながら取り扱うこと。
請負業者及び都市建築部からの引渡し時に確認する化学物質は,文部科学省が基準値を定める次の6物質(平成16年4月より2物質追加)とし,厚生労働省の規定する化学物質の測定値についても報告を受け,引渡し後の施設の維持管理・日常点検等の参考にすること。
なお,アセトアルデヒドは,平成15年度に実施した測定で基準値を上回った経過を踏まえ,当分の間,6物質に準じた取扱いとするとともに,キシレンはワックス,パラジクロロベンゼンはトイレの消臭剤等,エチルベンゼンは合板・ペンキ,スチレンは断熱材・合成ゴム等の使用状況に応じて省略することができることとする。
ホルムアルデヒド 100μg/㎥(0.08ppm)以下
トルエン 260μg/㎥(0.07ppm)以下
キシレン 870μg/㎥(0.20ppm)以下
パラジクロロベンゼン 240μg/㎥(0.04ppm)以下
エチルベンゼン 3,800μg/㎥(0.88ppm)以下
スチレン 220μg/㎥(0.05ppm)以下
(両単位の換算は25゜C)
*アセトアルデヒド 48μg/㎥(0.03ppm)以下
また,新築・改築時の移転後一定期間は,文部科学省が定める化学物質以外であっても基準値の2分の1を超えた物質(本市の場合,基準値の45%以上の物質)について測定検査を継続し,児童生徒等のより安全を期すること。