アトピー性皮膚炎―治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム21
アトピー性皮膚炎―治療
司会者:古川福実1), 秀 道広2)(和歌山県立医科大学皮膚科1), 広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学2))

MS21.基調講演 アトピー性皮膚炎―治療

古川福実1), 秀 道広2)
和歌山県立医科大学皮膚科学1), 広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学2)


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アトピー性皮膚炎の治療は,一時の混沌とした時代からevidence-based medicine(根拠に基づいた医療 )に基づいた治療による時代となってきた.

日本アレルギー学会,日本皮膚科学会,厚生科学研究による治療あるいは診療ガイドラインが発表され認知されつつある.

ガイドラインによれば,治療の柱は原因悪化因子の検索と対策,異常な皮膚機能の補正―スキンケア,薬物療法とされる.
この疾患に関わるものの治療方法へのスタンスは,従来の治療方法の検証と新たな治療法の開発であろう.

本ミニシンポジウムでは,タクロリムス軟膏の臨床的評価について,C線維増生・NK1受容体発現増強への抑制効果を検証した基礎的研究と尿中神経成長因子の変動が小児の掻痒抑制効果と相関することが示されている.

ロラタジンは,本症に頻用される抗ヒスタミン薬であるが,TARCが病勢の治療マーカーになる可能性が発表される.

本症における漢方製剤の有用性については旧くて新しい検討対象であるが,補中益気湯が,虚弱体質の患者のTh1,Th2バランスに影響を及ぼすとの発表がなされる.

これらの成果は,従来の治療方法に新たな視点を与えるものであろう.
今学会では,いくつかの新たな治療の可能性が報告されている.

抗酸化・抗炎症蛋白heme oxygenase-1,βカロテンやリコピン,コレステロールやマンゴスチン果皮抽出物などに,in vitroやモデルマウスを用いた研究によりその可能性が示唆されている.
このような研究成果が,このシンポジウムの議論を通して,本症の科学的で標準的あるいは補助的な治療方法に結びつくことを期待したい.

第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催