・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム13
薬物アレルギー・化学過敏症
司会者:飯島正文1), 長谷川眞紀2)(昭和大学医学部皮膚科1), 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2))
MS13-10.化学物質過敏症の急性症状に対する酸素吸入療法の有効性の検討
水城まさみ, 山田博之
国立病院機構盛岡病院呼吸器・アレルギー科
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化学物質過敏症(MCS)は化学物質曝露をきっかけに多臓器の症状が出現してくるが,時に急性症状を呈する.
急性症状としては,頭痛,咳,息苦しさ,不整脈,皮疹,四肢の筋肉痛や脱力,高度の全身倦怠感など非常に多彩であり,重篤な場合は,意識消失を起こして救急搬送されることもある.
しかし,救急車内の薬品臭やタバコ臭に反応して,さらに症状が増悪することもある.
MCSの有効な治療法はまだ確立されていないが,経験的に急性症状に対して,グルタチオンの点滴や酸素吸入が有効といわれ,臨床現場では実施されている.
今回,当院化学物質過敏症外来通院中の患者に対し,医師から医療用酸素ボンベの指示書を提出し,急性症状発現時に酸素吸入(2~5L/分,5-20分)を在宅でさせて,その効果を検討したので,報告する.
対象は男4名,女5名で,いずれもMCS発症に関わる化学物質曝露のエピソードがあり,原因物質を回避すると症状が改善し,大部分は急性症状にて救急受診歴があった.
症状は頭痛,気分不良,筋肉痛,四肢のしびれ,脱力が多かった.
自宅での酸素吸入療法導入により,全例で症状の改善が認められ,救急受診の頻度が有意に減少し,患者のQOLを改善させた.
MCSに対する在宅酸素療法は保険適用ではないが,早急な対応が望まれる.
第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催