・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム1
食物アレルギーの治療(特に経口免疫療法)
座長:海老澤元宏1), 大嶋勇成2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 福井大学医学部附属病院小児科2))
MS1-7.ピーナツに対する急速特異的経口耐性誘導療法~鶏卵と異なるか?~
伊藤直香 犬尾千聡 高増哲也 栗原和幸
神奈川県立こども医療センターアレルギー科
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【目的】我々は鶏卵アレルギーの年長児6例に対して急速特異的経口耐性誘導療法(rush SOTI)を試み,全例で加熱鶏卵1個以上に対する耐性を得,その後もその効果を維持することに成功した(アレルギー 2008:57:374,日本小児アレルギー学会誌 2008:22:648).今回,ピーナツアレルギーを対象にrush SOTIを行ったので報告する.
【方法】対象はピーナツ摂取にてアナフィラキシーを生ずる6歳以上の児5例(6~9歳;中央値8歳7ヶ月).二重盲検負荷試験にて閾値判定後,1日5回を目標に漸増しながら連日ピーナツを摂取.増量が不可あるいは10粒に到達した時点で退院とし,以後は2回/週以上維持量の摂取を継続.
【結果】閾値は15~390mg;中央値26mgで,誘発症状は膨疹,咳嗽,喘鳴,嘔吐等であった.
rush SOTI開始後8~17日;同14日で,全例でピーナツ10粒以上の摂取が可能となった.治療中に膨疹,咳嗽,喘鳴等の症状が全例でみられた.
維持量継続中,1例は耐性を失い継続が困難となった.
ピーナツ特異的IgE抗体価の著増をみた例もあった.
【考察】我々の行ったrush SOTIはピーナツアレルギーに対し一時的な耐性誘導は可能だったものの,鶏卵とは異なる面も多く,その効果の維持が難しい例もあった.
その要因は様々な可能性が考えられた.
第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催
runより;rush SOTIに関しては用語集の急速特異的経口耐性誘導療法をご覧ください。