「予防原則を学ぶ」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html


・ピコ通信/第64号
発行日 2003年12月18日
発行 化学物質問題市民研究会
e-mail syasuma@tc4.so-net.ne.jp
URL http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
連続講座第「化学物質から子どもを守るために」 2003年12月6日開催
  第4回 「予防原則を学ぶ」
   大竹千代子さん(「化学物質と予防原則の会」代表)

◆ヨーロッパで予防原則と出会う
 私は今年3月まで、国立医薬品食品衛生研究所の非常勤研究員をしていました。昨年4月に「化学物質と予防原則の会」を作り、同年7月にホームページを立ち上げました。「予防原則」は今後の化学物質などの健康・環境政策に関わる重要な考え方で、少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。
 5年前ヨーロッパに行って、どこの行政機関も「予防原則に基づいて」という議論がされていました。そこで1992年のUNCED(国連環境開発会議)アジェンダの15原則で取り上げられているということを初めて知ったわけです。

◆予防原則とは
 「予防原則」の厳密な定義はありません。

しかし、話されているバックグラウンドはみんな同じではないかと思います。

私は「潜在的なリスクが存在するというしかるべき理由があり、しかしまだ十分に科学的にその証拠や因果関係が提示されていない段階であっても、そのリスクを評価して予防的に対策を採ること」と定義しています。
 「予防原則」は予防の概念であり、具体的アプローチは「予防的対策」として区別されます。

日常的に使われる「予防」とも異なったものです。

化審法には予防原則が採り入れられているといわれますが、これは「未然防止」というものであって、因果関係がはっきりしているものが対象です。

コミュニティーが大きくなると予防に関する利害が対立するため、その解決ルールとして必要になってきます。
 適用対象としては化学物質だけではなく、新技術、生態系、感染症、電磁界(EMF)、放射線など科学的に明らかではないリスクを考えないといけないもの全てが対象となります。

国際環境法、環境倫理学、生態学などではずっと前から議論されていました。
 関連する用語としては、予防原則・事前警戒原則
、予防的方策、予防的政策、防的対策、未然防止などがあります。

今は予防原則・事前警戒原則は科学的に因果関係がはっきりしない場合、予防的対策は因果関係が科学的にはっきりしているものと使い分けられています。

日本の政府にはまだその認識がありません。

予防原則というのは世界的に共通する理念であって、具体的な対策は手順や制度が異なるものです。

言葉が混乱しているからといって、まだ導入できないという企業の論理は納得できません。
 国際条約では、1992年のUNCEDの15原則、オゾン層破壊防止のモントリオール条約、気候変動枠組み条約などで予防原則が取り入れられました。

EUでは2000年のコミュニケーションペーパー以降積極的に推進されるようになりました。WHOも電磁界や公衆衛生予防で取り入れています。