環境ホルモン問題は今どうなっているのか3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・質疑応答

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Q 缶コーヒーの内側にビスフェノールAが使われている。

最近内股の男性が増えている。

日本の自動車メーカーは、欧州へはノンアスベストの車を輸出しているが、国内では対応していない。
A 男性の女性化を示唆するものはたくさんあるが、それとビスフェノールAとの因果関係を証明するのは非常にむずかしい

。ビスフェノールAの暴露量は最近急激に減っている。

ブレーキ中のアスベストは代替化されている。

ただし、代替のアンチモン化合物の大気濃度が増えていることをどう考えるか。

ヨーロッパ市場とのダブルスタンダードの問題だが、今はヨーロッパの基準がグロバールスタンダードとなって、それが遅れて日本に波及する。

日本の環境省にも、日本が世界を牽引するような政策をとるべきで、それが日本の経済的利益にもなると考えている役人もいる。

Q XY染色体をもっていて、外見は女の子という例があると考えるが、そういう調査はされているか? 最近、環境ホルモンはウソだといっている人たちがいるが、学会長としてどう考えるか?
A 性比のゆがみが発生する仕組みはよく分かっていない。

来年9月のダイオキシン国際会議でこのあたりの議論をしたいと思っている。環境ホルモンへの批判的意見に適切な反論をしていないのでは、という指摘だが、学会としては学問的でない議論への参加は避けている。

学会は生物系の研究者が多いが、批判の多くは、生物学や毒性学の科学的な議論ではなく、政策選択の問題として展開されている。

議論の場を考えてやらないとかみ合わない。

Q 神栖市のヒ素汚染で、汚染土壌を焼却場で焼く試験をしようとしている。焼いたらヒ素はどうなるのか。処理の最良の方法は?
A 無機ヒ素化合物はセメントで固めると融合して溶出しないが、神栖市の例は、ジフェニールヒ酸という特殊な化合物で、アルカリにあうと溶け出す。

汚染の全体像はまだ完全には分かっていない。

井戸の水が農業用水にも使われて土壌汚染が広がった。とりあえず高濃度の土壌の対策をしようということで、それには焼却して無機化して管理型処分場で保管するのが考えられる一番安全な方法だ。

そのための焼却試験をしている。ヒ素焼却は実績もあるし、回収装置もあるので、飛散の恐れはない。

Q 発ガン物質の問題は解決したかのように発言されたが、納得がいかない。EPAで発ガン性の試験を、動物実験からもっとベーシックなメカニズムに落としてやることになったが、望ましい動きなのかどうか?
A 発ガン物質については、70年から80年代に試験方法を含めた科学的知見が集積され、規制の中にこのコンセプトが入り始めたということをお話した。

これで終わりということではなく、厳しい規制を設定する仕組みができたということだ。

官庁も、部署によって同じ物質を発ガン物質としたり、しなかったりで、まだ混乱がある。

IARCのリストの40種も、アルコールやニッケルをどう考えればいいか。

日常的に出回っているものをどうするのか、暴露量も考えないと対策をとれない。毒性学では、動物愛護の見地もあり、動物実験から細胞レベルの試験へとアプローチが変わりつつある。

Q 有機リン中毒で過敏症を発症した。

子供たちも、学校でアスベスト除去工事をして天井を張り替えたため学校へ行けなくなった。

家でプレイステーションをやっていて、奇声を発する。

私もそれがある部屋では、筋肉が硬直する。

有機リンと同じような物質が使われているのか? 医療器具にも反応するので、過敏症の人は医療も受けられず、医者も認識がない。
A 化学物質過敏症については、存在するというコンセンサスは学者の間でできつつあるが、臨床例がまだ整理されていない。原因物質との関係があいまいで定義づけがむずかしい。

MRIで脳内血流の変化として診断できないか研究をしている途中だ。

免疫系よりは、脳神経系が強く関与している問題である可能性が強い。

いろいろな化学物質に囲まれている生活からは、なかなかそれを避けるための解決策は出ないが、暴露を減らすことと、そのための科学的知見と技を蓄積していくこと、これをやっていくしかない。
(まとめ 花岡邦明)