46団体による公開質問状及び厚労省の回答6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・[添付説明資料]
「シックハウス症候群に対する相談と対策マニュアル」の内容に関する問題点について(第2 章、第6 章、第8 章の化学物質過敏症に関連する部分について)
問題点1.7 頁の図2-2:「シックハウス症候群」の円と「シックハウス関連病(アレルギー、感染症、中毒等)」の円が一部重なった状態でそれらを含む「室内空気質汚染による健康障害」の円と「化学物質過敏症」の円が別物となっていて、まったく重なることがないというこの図は、これまでの様々な研究と大きく異なる新しい見解であるが、その根拠が何か疑問である。
岸研究班の仮説ならば、その旨、本文や図に記すべきである。
平成16年2月27日付けで厚生労働省健康局生活衛生課により公表された「『室内空気質健康影響研究会報告書:~シックハウス症候群に関する医学的知見の整理~』の公表について」において、「非アレルギー性の過敏状態としてのMCS の発症メカニズムについては(中略)、
決定的な病態解明には至っていない。

しかしながら、その発症機序の如何に関わらず、環境中の種々の低濃度化学物質に反応し、非アレルギー性の過敏状態の発現により、精神・身体症状を示す患者が存在する可能性は否定できないと考える。」とある。
「環境中の種々の低濃度化学物質」として、室内空気汚染物質も含まれるはずであり、患者の多くは室内空気汚染物質にも反応して症状が出ると訴えている。

また、化学物質過敏症患者の約半数はシックハウスが発症原因、あるいは7割以上がアレルギーもあるという報告が複数あるのに、この図で円が全く重ならないのはおかしい。
なお、「厚生労働科学研究費補助金健康安全確保総合研究分野健康科学総合研究」にある,「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究(文献番号200501212B、主任研究者石川 哲(北里研究所病院臨床環境医学センター))には、『シックハウス症候群(SHS)と診断された症例には化学物質過敏症(MCS)が含まれる。』とある。
問題点2.65-66 頁:化学物質過敏症の疾病概念について、国内、国際的定義が紹介されているが、いずれもコンセンサスが得られていないとして、化学物質過敏症について疾病としての存在そのものに懐疑的な論調である。

しかし、未だコンセンサスが得られていないからといって、心因性疾患を示唆するというのは、非科学的ではないか。
問題点3.65 頁:「原因物質との関連をみる目的でクリーンルームが北里研究所病院をはじめとして全国7 カ所の病院に設置されています。

しかしながら、疾病像は自覚症状のみで、種々の検査では所見がみられず、原因物質についての因果関係が明白にされないことが多く、中毒のような曝露との関連性がみられない事から、心因性疾患と考える臨床医や研究者もいます。」「疾病像は自覚症状のみで、種々の検査では所見がみられず」というのは明らかな間違いである。
診断には、他覚的神経検査が大変重要で、瞳孔反応、眼球追従運動、コントラスト感度(CS)、重心検査、脳血管循環動態検査、画像診断などの検査が用いられていて、データの集積がある。
問題点4.66 頁:「宮田らの報告によりますと・・・・・、ホルムアルデヒド曝露と被験者の症状誘発との間には関連はなかったとされました」これは、環境省による「平成14 年度本態性多種化学物質過敏状態の調査研究報告書」(平成
16 年度)を指すと考えられるが、報告書では「今回の二重盲検法による低濃度曝露研究では、ごく微量(指針値の半分以下)のホルムアルデヒドの曝露と被験者の症状誘発との間に関連は見出せなかった」という結論である。

関連があることを証明できなかったということで、関連がないことを証明したわけではなく、「関連はなかった」というのは正しくない。
また、本調査研究では同時に動物実験も行っており、「一方、動物実験の結果からは、微量(指針値以上)の化学物質の曝露により何らかの影響を有する未解明の病態(MCS:本態性化学物質過敏状態)の存在を否定し得なかった。」と結論が書かれているが、そのことにはいっさい触れていない。
さらには、本研究の続きである「平成16年度本態性多種化学物質過敏状態の調査研究報告書」では、曝露負荷試験における自覚症状の比較のみでは、病態解析を行なうことが困難であるとの結論を得たので、薬物代謝酵素の遺伝子多型性・神経学的検査所見を加味した再評価を施行したとして、「本態性多種化学物質過敏状態と診断された集団の傾向として、薬物代謝酵素(GSTs)を欠損している例が多いこと、健常者の集団と一部異なる遺伝子発現パターンを有すること、神経学的に明らかに異常所見を有する者が多いことが推察されたが、母集団が極めて小さいことから、これらの結果と過敏状態との関連性は未だ断定することは出来なかった」と結論づけているが、そのことについても一切触れられていない。
宮田らは、平成14年度の研究と同様の試験を、自覚症状ではなく自律神経の反応を電子瞳孔計検査で検討した結果、多種類化学物質過敏症患者では、極めて微量の(8ppb、40ppb)ホルムアルデヒド曝露で自律神経機能が変動することが明らかになったと報告しているが、これについても紹介されていない。(「多種類化学物質過敏症患者の二重盲検ホルムアルデヒド負荷試験と瞳孔」2002年神経眼科第19巻第2号:155-161)
問題点5.疫学67-69 頁:“心因性”が随所で強調されている。68 頁:またも宮田らの研究が引用されているが、報告書における「化学物質過敏症の中には、化学物質以外の原因(ダニやカビ、心因等)による病態が含まれていることが推察された」との結論を逸脱し、「心因の関与が疑われている」と断定している。