寝屋川病裁判の判決 「健康被害」認めず2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・( 3 ) 原告ら住居等への有害化学物質の到達・曝露
ア 全国平均値の検討
本件2 施設周辺に他に化学物質の発生源となり得る施設が全く存在しないわけではなく、また、他に考えられる発生源の影響の程度も不明である以上、比較対照地点における有害化学物質の数値をもって、直ちに本件イコール社施設からの物質の排出や到達を論じることはできないというべきである。
イ 柳沢6 月調査
柳沢6 月調査については、寝屋川市役所における大気の状況と調査地点
の大気の状況の相違に関する考慮状況が明らかになっておらず、比例按分
することの正当性が何ら示されていない等の問題があり、信頼性には疑問
が残り、採用することはできない。
ウ 原告ら臭気調査
府市合同調査における臭気調査及び被告イコール社臭気調査において
も、規制基準値を超える特定臭気物質が一切検出されていないこと、原告
らの臭気調査においては、臭気調査の基礎となる原資料の信頼性に疑問が
存するといわざるを得ないこと等を考慮すると、原告らの臭気調査は信用
することができない。
エ 接地逆転層・拡散希釈の検討
理論上、接地逆転層が形成されると、大気の拡散状況が変化し、一般的な拡散モデルで予測評価することは困難となることは認められるが、本件地域に、いつ、どのような条件の下で、また、いかなる時間的・空間的範囲で設置逆転層が形成されるかについては不明であるといわざるを得ず、本件地域が一般的な大気の拡散モデルの適用が困難となるような特別な地域であると認めることは困難である。
そうすると、1 9 年予測調査及び2 0 年予測調査の結果は、いずれについても信用性を認めることができ、本件イコール社施設から排出される化学物質の拡散・希釈状況についても参考資料となり得る。
そうであれば、本件イコール社施設から排出される化学物質が、さらに大気によって相当程度拡散し、希釈されるといえるので、原告らに健康被害が生じるような濃度の化学物質が到達すると認めることは困難である。
( 4 ) 原告らの健康被害
ア 津田疫学調査
津田疫学調査については、アンケートの実施方法、解析対象の選択、調査手法に種々の問題点があるので、信頼性に疑問が残るといわざるを得ず、これに基づく津田疫学調査は採用することはできない。
イ 眞鍋調査
眞鍋調査は、その前提となる津田疫学調査の信頼性に疑問があり、また、調査の手法や対象にも問題が存するため、採用することができない。
ウ 原告らの主張の健康被害
原告らは健康被害を主張しているが、客観的検査等の具体的証拠が一切提出されておらず、本件2 施設の周辺住民の健康被害の主張についても、証拠としては愁訴しかないこと及び上記本件イコール社施設からの化学物質の排出・到達の状況に照らし、原告らの主張する健康被害が本件イコール社施設由来の化学物質により生じたものであると認めることは困難である。
( 5 ) 杉並中継所との比較
処 理 対象物が異なれば発生する物質も発生量も異なるものであるところ、本件イコール社施設の処理対象物は、容り協が規定する再商品化適合物に合致する廃プラのみであり、他方、杉並中継所の処理対象物は、ビンやスプレー缶,電池等も多く含まれる非常に雑多な組成の廃棄物である不燃ゴミ全般であって,両者の廃棄物の中身が異なる上、排水処理方法にも差異があったのであるから、本件イコール社施設と杉並中継所を同列に論じることはできない。
2 主な争点( 2 ) について
( 1 ) 廃プラ由来の化学物質の発生
本 件 4 市組合施設の操業に伴って、一定の化学物質が発生していることが認められる。
( 2 ) 本件4 市組合施設からの有害化学物質の排出
ア T V O C について
現代の科学的知見においては、T V O C の数値をもって、人の健康に影響
を及ぼす危険性の判断指標とすることはできない。
イ 杉並中継所との比較
T V O C の排出濃度が健康に対する危険性を示す指標と認められていないこと及び本件4 市施設と杉並中継所の処理対象物が異なっていることからすると、杉並中継所と比較して本件4 市組合施設の危険性を指摘する原告らの主張は採用することができない。
ウ そのほか本件4 市組合施設から人の健康に影響を及ぼす程度の有害化学物質が排出されていると認めるに足る証拠はない。
( 3 ) 原告ら住居等への有害化学物質の到達・曝露
本 件 4 市 組 合 施 設 か ら 人 の 健 康 に 影 響 を 及 ぼ す 程 度 の 化 学 物 質 が 排 出 さ れていることを認めることができないのであるから、論理的に原告らの有害化学物質の曝露もみとめることはできず、また、実際にも、原告らの有害化学物質の曝露を認めるに足りる的確な証拠が存在しないのであるから、原告らの曝露を認めることはできない。
( 4 ) 原告らの健康被害
人 の 健 康 に 影 響 を 及 ぼ す 程 度 の 化 学 物 質 の 排 出 及 び 本 件 4 市 組 合 施 設 由 来の化学物質の原告らへの到達が認められないのであるから、本件4 市組合施設由来の有害化学物質による健康被害の発生を観念することはできず、また、本件4 市組合施設稼動後に、原告らに健康被害が生じた、又は、健康被害が悪化したと認めるに足りる的確な証拠はない。
3 結論
以上のとおり、本件2 施設の稼動によって、原告らにおいて、社会の一員として社会生活を送る上で受任するのが適当といえる程度を超える侵害があったと認めることは出来ない。
し た がって、原告らの請求はいずれも理由がない。


runより;残念な結果となった例ですが、立証できれば裁判は勝つ訳で、もしも今後こういう事態が起こった時には感情より証拠だという事です。(-。-;)