・日本
日本では1997年(平成9年)以降、登録患者数は公表されていない。
日本国内の療養所入所者数は2008年現在2,717人であるが、再発や治癒遅延でハンセン病の治療をしている人はごくわずかである。
Table 4 は最近12年間の日本国内の新規患者数である。
日本で発見された日本人の新規患者数に関しては減少傾向を示し2005年にはじめて0になった。
よって最近は日本で発見された新規患者は、外国で過ごしたことがある在日外国人がほとんどである。
在日外国人の中ではブラジル出身者と東南アジア出身者がほとんどを占める。
WHOに定義されるように「診断されて適切に一定期間治療を行いその後は患者登録から除外される」という観点で日本の登録患者数を推定すると、新規患者数と同程度である数名となる。
しかし、日本では菌を0にするまで治療を行う治療基準が設けられており、WHOに定義されている治療期間より大幅に治療を継続しているケースや、一旦治癒したが菌検査で少しでも陽性がみられれば治療を行うというケースも考えられるため、実際に治療を行っている患者数に関してはWHOで定義している登録患者数に比べるとかなり多いと推定される。
しかし、実際のところ現在は、治療を行っている患者数に関する統計を行っていないので詳細は不明である。
国により、病型の統計はまちまちである。
日本の統計では、多菌型が多く、昔の統計では、現在は見られない癩性禿頭症や失明も多かった。
光田健輔によると1911年に公立療養所第一区府県立全生病院(現、国立療養所多磨全生園)では58.63%に禿頭症がみられた。
沖縄県や東南アジアの様な流行地では症状は一般的に軽いといわれている。
分類
ハンセン病の分類に関しては様々な分類法がある。
現在の一般的な病型分類は、WHOのMB型・PB型分類法であり、この分類が望ましい。
以前は、1962年提唱のRidley & Joplingの分類法が一般的に使用された。
WHO治療指針の病型分類法
WHOは、多剤併用療法による治療方針決定上の簡便な病型分類として、MB型(多菌型,multibacillary)とPB型(少菌型,paucilbacillary)の二分類を採用している。
MB型はおおむねLL型、BL型、BB型及び一部のBT型に相当する。
一方、PB型はおおむねI群、TT型及び大部分のBT型に相当する。
菌スメア検査のBI( bacterial index)(菌指数)と皮疹(皮膚の発疹)の数によって分けられる。
BIについては検査の項を参照。
MB型(多菌型):BI陽性・皮疹6個以上
PB型(少菌型):BI陰性・皮疹5個以下
Ridley & Joplingの分類法
1962年に提唱された分類法である。
分類の方法は、らい菌に対する生体の細胞性免疫の強弱に基づいている。
LL型(らい腫型、Lepromatous type)、TT型(類結核型、Tuberculoid type)、B群(境界群、Boderline group)、I群(未定型群、Indeterminate group)に分け、さらにB群はLL型に近いBL型(Borderline lepromatous type)、TT型に近いBT型(Borderline tuberculoid type)、中間のBB型(Mid-borderline type)と、1群5型に分類した。