ハンセン氏病2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・呼称の変遷
ツァラアトからleprosyまでの変遷
ツァラアト

ツァラアト(????, Zaraath)は、ヘブライ語で「汚れ」や「しみ」を表す言葉である。
旧約聖書「モーセ五書」の「レビ記」(13章・14章)に最初に登場した。
見た目の「汚れ」のみならず、宗教的な「穢れ」も意味し、「死のミサ」や「模擬埋葬」などの儀式の対象となった。
その後、ツァラアトの語は、ギリシャ語訳聖書「七十人訳聖書」(紀元前250年頃)で「レプラ」と訳されて、使用されなくなった。
長らく使用されなかった言葉であったが、2000年以上の時を経て日本聖書刊行会より発行された「新改訳聖書」(新約1965年、旧約1970年初版)の第三版(2003年)では「ツァラアト」と訳された。

象皮病

古代ギリシアでは「象皮病」と呼ばれた医学用語があり、現在のハンセン病と言われている。
ツァラアトとは異なり、宗教とは無関係の正式な医学用語であった。
この言葉は「レプラ」の普及とともに使用されなくなった。
現在は、象皮病というと、バンクロフト糸状虫などのヒトを宿主とするリンパ系|リンパ管・リンパ節寄生性のフィラリア類が寄生することによる後遺症のことであり、ハンセン病とまったく無関係なので注意を要する。

レプラ

もともとはギリシア語で、「皮膚の表面に出現する粉状のもの(ふけ・斑紋・しみ・あざ)」を意味する医学用語であった。
よってこの時点ではハンセン病以外の幅広い病気がこの名前で呼ばれていた。
それとは別に、旧約聖書や新約聖書にも「レプラ」という言葉が使用される。
紀元前250年頃、ギリシャ語訳聖書「七十人訳聖書」では、ヘブライ語の旧約聖書をギリシャ語に翻訳した際、「ツァラアト」は「レプラ(λεπρα)」と訳された。
その後、1世紀になると、ギリシア語で書かれた新約聖書、例えば「マルコによる福音書」では「レプラ」という言葉が使われた。
古代ローマ|ローマ時代の医学者・ガレノス(130年 - 200年頃)は、「象皮病」と呼ばれていた「ハンセン病」の一部で皮疹を主に出現する型のものを「レプラ」と呼んだ。
この時を境に本来の意味とは異なる形で、ハンセン病がレプラという医学用語で表現されるようになり、また「ツァラアト」が保持する「祭儀性」と結びついて忌まわしい表現にも発展する言葉になった。
その後、ラテン語訳聖書「ヴルガータ|ウルガタ聖書」が作られた際も、旧約聖書の「ツァラアト(????)」・新約聖書の「レプラ(λεπρα)」はすべて「レプラ(lepra)」と訳された。
それにより「レプラ」という言葉はヨーロッパ中に広まり、宗教用語と医学用語が結ばれて広く使用された。

leprosy

leprosyは英語である。
1535年、ウィリアム・ティンダル|ティンダルとマイルス・カヴァーデイル|カヴァーディルによって聖書の英語訳聖書|近代英語訳が完成し「lepra(レプラ)」は「leprosy」と訳され、はじめて登場した言葉である。
よって、この言葉も宗教用語と医学用語とが結びついた印象を持っている。