公害紛争処理制度の今後の課題2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2)このような公害紛争処理制度は、それまでの裁判所における訴訟手続と比べると、次のような特色を持つとされている。

なお、ここでは、中央の公調委の手続を念頭において述べるが、都道府県の公害審査会等においても、同様の特色を発揮することが望まれている。
ア 公害紛争に対する専門性
公害紛争の解決には、公害の原因と被害との間の因果関係の解明を始めとして、公害問題に対する科学的で専門的な知識、経験が必要になる。

公調委は、委員会を構成する委員や事務局職員に専門家を加えるとともに、補佐機関として学者等から選任した専門委員を置いている。
イ 職権による調査の実施
公害紛争処理手続では、原則は、当事者の主張・立証によって事案を解明して行くのであるが、公害紛争の特色から、当事者には立証が難しい場合が少なくない。

そのよう場合には、職権(国の費用)で、事案解明のための調査を行うことができる。

委員会や事務局職員による事実調査を行ったり、専門委員の指導のもとに、研究機関や調査会社に委託して必要な調査を行うのである。
ウ 手続の迅速性・柔軟性
手続の中での審理は、原則として民事訴訟と同じ手続によるが、事案の迅速かつ柔軟な解決のために、必要に応じて前記の職権による調査を活用したり、期日前の求釈明や進行協議を先行させて、正規の期日は集中的に1ないし2回にまとめて実施する等、簡易・迅速に手続を進めることができる。また、裁定の申立事件であっても、必要に応じて、職権による調停手続に移行させることができる。
エ 公害防止のための実効性の確保
損害賠償を求める責任裁定の申立てであっても、公害防止のために必要とされるときには、前記の職権による調停移行を活用し、公害を予防する諸施策について合意させ、紛争解決の実効性を確保することができる。

また、調停で合意した内容の履行状況を監視するため、事後的にフォローアップを行う制度もある。

そして、必要に応じて関係行政機関に対し、公害防止施策の改善等の意見を述べることができる。