今後の化学物質環境対策の在り方について(諮問5 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・2-2 命令書の案の一部を以下の変更案のように改定すること。
命令書の変更案
画像 図をクリックして拡大してご覧下さい

化学物質過敏症 runのブログ-prl00052


・理由:
アセタミプリドのMRLは、残留基準案、現行基準、国際基準のうち最も低い値に設定されるべきである。
そもそも、本改定は野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒患者発生
の報告を受けて行われたものである。

本改定はアセタミプリドのMRLをGAPの範囲内で可能な限り低くすることが本旨でなければならない。

現行基準、残留基準案、国際基準の全てが、GAPに準じた作残試験から得られた値なので、その中の最小値をアセタミプリドのMRLとすることに、技術的な問題は全くない。

野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒患者は確立されたものでないことは事実である。

しかし、厚労省の薬害の発生の歴史を紐解けば、水俣病、スモン、サリドマイド、イタイイタイ病、薬害HIV、薬害肝炎、化学物質過敏症、シックハウス症候群など、いずれも問題の発生時に対策を講じていれば被者の増大を防げた可能性のある例の枚挙に暇がない。

厚労省医薬食品局食品安全部基準審査課は、それら前例を認識し、未発の被害を防ぐため現時点で必要十分な対策を講じる責任と義務がある。

アセタミプリドの残留基準値(変更案)は、現在の技術で実現可能であり、極めて実効性が高い。
以上の理由から、命令書の案の一部を上記の変更案にする必要がある。
補足意見:
(1)本改定はあくまでも暫定的な改定である。

アセタミプリドのMRLの更なる低減に向け、産官学が共同して研究・改善を続ける必要がある。

特にGAPの見直しは急務である。
(2)アセタミプリドはネオニコチノイド系殺虫剤の一つである。

共通の作用機序を有する他のネオニコチノイド系殺虫剤との相乗・相加作用について詳しく知られていないので、官学が共同して研究する必要がある。
(3)ネオニコチノイド系殺虫剤がミツバチの大量死の原因である可能性が指摘されている。

近年のミツバチの大量死と、アセタミプリドなどネオニコチノイド系殺虫剤の使用との関連について十分な調査と対策が必要である。
(4)今回の改訂では急性参照要量(ARfD)が設定されているにも拘らず、アセ
タミプリドの短期曝露量が審査されていない。

従来のADIの計算だけでは不十分である。短期曝露量の評価は、1日あたりの最大摂取量(97.5パーセンタイル)とMRLの積がARfDの80%を下回らなければならない。
EUの計算方法と、EUの食品の最大摂取量(97.5パーセンタイル)を用いて、
残留基準値案を評価したところ、りんご(142%)、なし(128%)、もも(120%)、ぶどう(122.5%)、トマト(100%)などで、子供のIESTI /ARfD値が80%を超
過した。安全性に問題があることを示唆する。

一方、残留基準値(変更案)で評価した場合、いずれも80%を下回った。

これも残留基準値(変更案)を採用すべき理由である。
(5)使用方法を海外(米国)と比べると、単位面積当りの使用量が、日本の方
が米国よりも過剰であるケースが多い。

例えば、ブドウの場合、米国では0.05 lbai/A(5.6 g ai/1000m2)だが、日本では70 g ai/1000m2が上限である。

日本の単位面積当りの使用量は、実に米国の12.5倍である。ブドウにおける日本での過剰な使用量の設定が、米国の10倍以上の残留値となり、10倍以上の残留基準が要請されたのである。ブドウは米国でも日本でもブドウである。
米国の使用量で殺虫効果が得られるのであれば、日本でも実施可能である。
他にも、リンゴや桃(4.2倍)、ジャガイモやトマト(3.6倍)、メロン類(2.7倍)、かんきつ類(2.5倍)、イチゴ(2.1倍)など大部分の作物の使用量が、米国よりも過剰に設定されている。

GAPは、そもそも環境や収穫物への農薬の残留を最小に抑えるための方法と規定されている。

過剰な農薬の使用は、収穫物のみならず、環境への過剰な農薬の残留となり、ミツバチの大量死との関連もありうる。日本の使用方法をGAPに即したものに改定すべく行政指導を行う必要がある。
(6)野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒患者は、未報告だからな
いのではなく、その認識がないから報告がないのである。

アセタミプリド中毒の症例報告には、頻脈、脱力感、血圧低下、体温低下、代謝性アシドーシス、発作性心房発作が認められた(戸谷ら、中毒研究21:387-390、2008)。

アセタミプリドはニコチン受容体に作動する。

心電図異常はアセタミプリド中毒の重要な症状と考えられる。

心電図のない動物の一般薬理試験の結果を、人の臨床報告よりも重要視することは、本末転倒である。

さらに患者の尿からSCNが検出された。

シアンがアセタミプリドから生成し、アシドーシスを引き起こした可能性がある。化学物質過敏症やシックハウス症候群も、その実態が理解されるまでないとされていた。

水俣病の原因解明が遅れたことが、患者の増大を生み、解決の長期化の原因にもなった。

厚労省は、緊急に、野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒を調査する研究班を設置し、十分な人員と費用と時間を掛けて解明する必要がある。