今後の化学物質環境対策の在り方について(諮問4 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・2-1 〔以下2-4まで、パブリックコメントでの御意見〕
ア.今回の提案で、食品におけるネオニコチノイド系アセタミプリド残留基準
値を現行の基準より引き下げることについては評価する。
その理由として
(ア)日本のアセタミプリド残留基準値は総じて諸外国よりかなり高い。
(イ)アセタミプリドは、欧米で規制の対象となったイミダクロプリドと構造が
よく似たクロロピリジニルネオニコチノイドであり、イミダクロプリドと同様、
水溶性で残留性が高く、代謝産物にも生物活性がある。イミダクロプリドの残
留基準値と比べてもアセタミプリド残留基準値はかなり高い。
(ウ)食品残留ネオニコチノイドが原因と思われる健康障害を我々は平成18年頃より少なくとも数百例診断治療している。

患者はいずれも、茶飲料および国産果物の連続または大量摂取後に、亜急性の頭痛、めまい、吐気、嘔吐、胸痛、動悸、筋肉痛、筋脱力、振戦、記憶障害、発語障害、意識障害、心電図異常をきたし、診断治療にいたるまでに数百日を要した例もあった。

全例、茶飲料および国産果物の摂取禁止とグルクロン酸、グルタチオン、乳酸菌製剤を主体とする治療により数日から数十日の経過で回復した。
(エ)我々は発症契機と臨床症状からネオニコチノイド中毒が疑われた7人の非喫煙女性の治療経過中の尿を採取し、患者の同意を得た上でイオンクロマトグラフィーおよびLC-MSにより、6-chloronicotinic acid(6CNA)の分析を行い、6CNAと思われるピークを検出した。現在定性のための確認作業中である.

6CNAは、クロロピリジニル基をもつネオニコチノイド、すなわちクロロピリジニルネオニコチノイド(イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロ
プリド)に特有で共通の尿中代謝産物である。

うち1例は前医にてWPW症候群の頻脈発作と診断されβブロッカー投与による意識消失発作を繰り返していた。
原因となったクロロピリジニルネオニコチノイドとして、日本において単位面
積当たりの散布量が最も多く、食品残留基準も欧米に比して高く設定されているアセタミプリドが疑わしい。
イ.畜産物のアセタミプリド残留基準値に代謝産物IM2-1も含むとしたのは評価する。
ウ.しかし、今回提示されたアセタミプリド残留基準値の下げ幅は不十分であ
る。
その理由として、
(ア)たとえば茶葉においてアセタミプリドは、投与後数日で部分的に代謝され、原体としてほとんど検出されなくなる、というデータが出されている(Guptaら、
Food Chemistry 111 (2008) 805-810)。

この結果はメーカーの提出したデータと矛盾するが、検証に値するものと考える。

アセタミプリドは代謝産物にも生物活性があるため、アセタミプリドを用いて栽培された植物にアセタミプリド原体がほとんど検出されないからといって安全とは限らないこともあるらしい。

代謝産物が植物体内に大量に存在しているかもしれないことを考慮すれば、
アセタミプリド残留基準値のADIに対する安全率は、少なくとも10倍多く見積も
るべきである。

すなわち、残留基準値を、現行の10分の1以下にするのが適切である。
(イ)アセタミプリドの残留基準値の設定にあたって、農薬使用基準に基づいて
栽培された作物の残留値をもとに算出されているが、そもそも、この使用基準
が適切なものであるかどうかの検討が不十分である。

日本の農薬使用基準によれば、欧米の10倍以上の単位面積当たりの量が散布可能である。不必要な過剰散布を国が奨励している可能性が、今回の見直しでは検討されていない。

直しの前に、まず再度アセタミプリドの使用基準が適正であるか、検討する必要がある。
(ウ)現行の残留基準値では、果物などを多量に摂取するとARfDを超過する。健康障害防止の観点からすると、季節的に多量摂取の可能性のある食品、たとえばぶどう、なし、もも、りんご、みかんなどのアセタミプリド残留基準値は、現行の10分の1以下に下げる必要がある。
(エ)日本において生産された作物が諸外国へ輸出される場合を考えると、今回の改訂基準では、ほとんどの国の基準を満たさない。すなわち、事実上、日本の作物の多くは、輸出不可能となる。海外でも人気の高い高品質の作物を輸出向けに生産しようとする農家の不利益となる。
(オ)過去数年間に散布されたアセタミプリドが代謝産物も含めてどの程度環
境中および作物中に残留蓄積されているかについて、最近のデータがない。日本の果物、野菜の生産の多くは、山梨、長野、群馬など内陸の水源地に近い場所で行われており、これらの自治体ではアセタミプリドの使用量が多い。土壌への蓄積および水道の原水へのアセタミプリド混入はすでにおこっていると考えられる。

早急に現状の調査を行い、アセタミプリド残留基準見直しの資料とするべきである。

予防原則からすれば、環境アセタミプリド汚染がないことが確認されるまで、アセタミプリド残留基準値は暫定的に低い値に設定するのが適切である。
(カ)食品残留アセタミプリドによる中毒が強く疑われる患者の発生がみられる。

現行のアセタミプリド使用基準に従って作られた作物が原因である可能性があり、今回提案された残留値では、今後の患者の発生を抑えることは困難と思われる。