汚染米とメラミン汚染 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin03_53_07.html


・汚染米とメラミン汚染
国民会議副代表・弁護士 神山美智子

1 はじめに
 この二つは別々に発覚したのですが、食べた人のところで一緒になってしまいました。

汚染米は三笠フーズなどを通して、食用に転用され、全国に流れていき、焼酎、せんべいなどから、学校給食用オムレツの増量剤まで、驚くほどの広がりを見せました。

鹿児島の焼酎に流れた米は、アフラトキシンという発ガン物質を作るカビが発生したものでした。

その他の米はメタミドホスなどの農薬が基準値を超えて残留していたのです。
 メラミンは中国で牛乳中のたんぱく質を測る指標として窒素含有量を使っていたことから、工業用メラミンを故意に入れたものです。

日本は中国から乳製品をたくさん輸入しており、クリームパンダという、子どもが喜びそうな名前のお菓子は37ppm、チョコピローズは54ppm、かぼちゃ饅頭41ppmなど高濃度汚染がみつかりました。
 汚染米とクリームパンダが、日進医療食品などを通して、学校給食や病院給食、高齢者施設の給食に使われていました。

これはこうした施設の給食費が低く抑えられている証拠です。
 大人が質の良い食べ物を食べ、子どもや病人、高齢者が質の悪いものを食べているのです。

これではひところ流行った「国家の品格」が泣きます。

2 汚染米問題
 今回の汚染米問題は政府管理のミニマムアクセス(MA)米で起きました。MA米は、毎年一定量の米を輸入するもので、関税化した今もなくなることはなく、現在年間約77万トン輸入されています。

この米は安いので、日本の米農家を保護するためとして主食用ではなく、酒、味噌、醤油などの加工用、あるいは援助米や飼料用に使われてきました。これらは主食用に転用されないよう、破砕して売られ、あるいは破砕されて輸入されていました。
 今回の事故米というのは、保管中にカビ(アフラトキシン)が生えた米9.5トン、保管中に農薬規制が強化されたため検査した結果メタミドホスが基準を超えて残留していた米3,469トン、輸入検疫で基準を超えるアセタミプリドが検出された米598トンなどのことです。

こうした事故米については、農水省で処理要領を作っていますが、何とその最初に「極力主食用に販売すること」と書かれているのです。

この場合の事故米は、袋が破れたり、水に濡れてはいるが、食べるのに支障はない米のことです。

そして農政事務所長が、主食用にはできないと判断した米は、飼料用や工業用に売るとされています。
 今回の事故米は大量に発生したので、農政事務所ではなく、農水省本省が、すべて工業用糊の原料として販売するという方針を立て、三笠フーズ、淺井、太田産業、島田化学工業に販売しました。

このとき、本当に工業用糊の需要があるのか、農水省は確認せず、三笠フーズの言を鵜呑みにしたそうです。

しかし前年の実績が200万トン強なのに、3000トンを超える事故米が工業用糊に使われるはずがありません。
 さらに問題なのは、こうした事故米が米の形のまま販売されたことです。

農水省はカドミウムが0.4ppmから1ppmまで残留している米を買い上げて、工業用糊原料として売っていますが、この場合横流しを防ぐため着色し破砕します。

食品衛生法による基準値が1ppmなので、それ以下の米は食用に流通するおそれがあると判断したためです。

しかし、汚染米は食品衛生法違反品だから、食用に売ると処罰されると伝えて売ったので、転売されないと思ったそうです。

三笠フーズは米穀販売の届出をし、加工用米も買っているいわば米屋です。米屋に丸米を売れば、不正転売されると思うのが常識です。
 三笠フーズについては、以前から不正の疑いがあるとの通報もあって、一応調査はしているのですが、まったく見抜けませんでした。

それどころか、調査のため、多量の米袋を移動してもらったとしてお礼まで言っています。
 福田前総理は消費者庁前倒しの意味で、検証委員会を立ち上げると明言し、急遽9月19日に、事故米穀不正規流通問題に関する有識者会議が開かれました。

私もその一員として参加しましたが、1週間に2回も開催するという強行日程で、11月25日、調査報告書第一次とりまとめを公表しました。
 そして政府は、2度と汚染米を流通させませんという新聞全面広告まで出したのですが、12月に、またもアフラトキシンのカビが生えたMA米(タイ産)を流通させたことが明らかになりました。購入した会社が発見し農水省に報告して廃棄し、保管中の他の米の検査もしたそうです。

アフラトキシンは日本にないカビなので、MA米に胞子がついてくるのです。今、世界的に食糧危機と言われていることを考えれば、MA米制度は見直すべきです。
 農水省は汚染米問題を受けて、米のトレーサビリティ制度と米製品の原料原産地表示制度を作ることにしていますが、規制緩和で導入した米販売の届出制は維持すると言っています。

それまでのように登録制なら悪質業者の登録を取り消すことができますが、届出制ではそれもできません。無届けの場合の罰金もありますが、一度も適用されたことはないそうです。つまり実態調査もしていないのです。
 また飼料用などの安い米を食用に転売することを禁止し、違反者には罰金と業者名公表というペナルティを課すそうですが、知らずに売ったスーパー名の公表は無理ではないかと農水省は説明しており、実効性が疑問です。

農民連が調査した結果によると、スーパーで売られている激安米は、屑米に少し普通の米を混ぜただけのものだったのです。このスーパーが知らなかったですむのでしょうか。

3 メラミン汚染問題
 メラミンは、アメリカでペットフードに混入した事件のとき、日本も気が付くべきだったと言われています。中国で多くの子どもが腎臓結石などの健康被害を受けました。日本でもたくさんのメラミン汚染食品が流通しました。
 しかし問題は食品安全委員会が早々と安全宣言を出したことだと思います。9月の時点で食品安全委員会は、子どもでもクリームパンダを7個以上食べなければ大丈夫としていました。

しかしその後シアヌル酸という不純物がみつかり、カナダやEUがTDI(耐用1日摂取量)を10倍厳しくし、乳製品の廃棄基準を2.5ppm(カナダは乳幼児用粉乳1.0ppm)と設定したため、食品安全委員会も従来の情報を削除しました。この基準と比べればクリームパンダは14.8倍の汚染です。

7個食べられるどころの話ではありません。

新しい情報で以前の情報を更新することは当然ですが、その経緯を説明する必要があります。

すべてのクリームパンダが回収されたわけでもないでしょうから、未だに前の情報を信じて食べている子どもがあるかもしれません。

国民の不安を沈めようとするあまり、少ない情報のまま科学的安全宣言を出すのは食品安全委員会の仕事ではないと思います。