化学物質と健康被害「シックハウス」14 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・柳沢 有難うございます。

予防にとってまず最初に大事なことは、知るということである。

ある調査によりますと、シックハウス症候群とか化学物質過敏症という言葉を知っている人は、日本全国で10パーセントくらいだというデータがあります。

先程の石川先生のお話によりますと、化学物質過敏症の予備軍は10パーセントくらいいるということです。

そういたしますと、ここにこういう避難施設ができたことが、旭川市など2市8町の地域に及ぽしたいちばん最初の明らかな成果は、この地域ではシックハウス症候群あるいは化学物質過敏症という言葉が広まったことです。

日本の中でいちばん密度濃く伝わっていくことでしょう。今、秋野弁護士が言われたように、まず知識を持つということで旭川がいちばんいい立場に立てたという、一つの具体的表れです。

患者さんが来る前から成果が出ているわけです。
では予防という観点から吉田先生にお話いただきたいと思います。
 
吉田 私が23年前に杉花粉が非常に多いといわれる神奈川へ行きまして、最初のうちはなんともなかったものが、2、3年たってからどうもぐすぐずしてきました。

当時企業の産業医をやっておりまして、健康診断をやっておりますと、確かに花粉症で悩んでいる人が多いんです。

神奈川県は箱根とか丹沢など杉のあるところが多いんです。

引っ越してきて何年かたつと皆さん花粉症になっていくんです。

これもアレルギーのことで説明できるんですが、始めのうちは平気なんですが、だんだん原因となるものにさらされていくうちに、ある時突然症状として出てきます。

化学物質過敏症にも同じことがいえまして、少量のものにさらされている最初のうちはいいんですが、量が噌えていくにしたがって、抵抗力が手いっぱいになってきて、花粉がちょっとついただけでも、あるいは化学物質にちょっと触れただけでも反応が起こるようになってしまうんです。

ですから症状が出る前に抑え込む医療と、病気にかかってしまってからそれを抑え込む医療とは少し違うということを、覚えておいていただいたほうがいいと思います。

健康な方でも低ければ低いほどいいにこしたことはありません。

人間の体はある程度抵抗力を持っていますし、この程度なら安心だというガイドラインは決められていますから、少なくともそのガイドラインくらいは守るようにしていただきたいと思うわけです。

そのような住宅に住むことを心掛けられたらいいかと思います。
 ただ一つの物質がガイドライン以下ならいいかというと、足していく場合は違います。

化学物質がいくつかありますと、普通毒性学から考えますと、この量まであるとある種の中毒になるという基準がある。

そこでその量を半分くらいに減らした。そしてもう一つの基準も半分にした。そうしますと足して2分の1と2分の1になるかもしれない。

全体の物質の総量も考えながら規制していくというか、減らしていくことが大事だということです。
 
柳沢 私の手元にコップがありますが、人間はどうもこういうコップを体の中に隠し持っているらしい。

大きなコップの人も小さなコップの人もいます。

毒物が入ってくるとそのコップに貯めこんでいく。

いろいろな種類の毒物が入ってきます。

アルファーピネンも量が多ければ毒物です。

使用度が上がると高血圧にもなります。

ある時コップはいっぱいになって、最後に一滴入るとこぽれてしまいます。

そんな状態が過敏症です。

ですから予防の観点から考えると、いちばん良いのは少しずつ入れることです。

毒物が入るような環境をできるだけつくらないことが大事なわけです。

鋭敏な人が集まって、「どうもここの農薬を使った食べ物はよくないな」という話が出てくると、それを使わなくなる。

当然ここへ入ってくる量が少なくなってきます。この地域の人たちにとってはこの上ない予防になるわけです。そういうことですね。
 
山口 予防のためには、こういう病気のことをよく学習することです。

私は毎週日曜日に学習会を開き、すでに900回を超えていますがなかなか成果は上がりません。

無頓着な人が多いのかなと、感じたりしています。

最近感じるのは、化学物質過敏症にかかる人は敏感な人であるということです。

鈍感な人はかかりません。

家族の中にもかかる人とかからない人がいます。

ですから私は、「化学物質過敏症にかかる人は賢い人だ」とも言っています。誰よりも先に気づいたわけですから。

鈍感な人はあとで気づくんです。

ですから鈍感な人は、手のつけようがない重症患者になってしまいます。

予防はまず生活を総合的にとらえ、住宅でも衣類でも食べ物でもすべて健康にいいものを選ぶことです。

どれか一つだけという枝葉からだけでは解決にも予防にもなりません。

家族の健康に対して大いに学習し、賢くなることがいちばんの予防なのです。それしか方法はありません。誰も守ってくれませんし、守ることに規制も法律もないんですから、自分たち家族のことは自分たちで守るしかありません。これから10年間に、化学物質過敏症はますます増えてくるでしょう。表現は悪いですが、文明生活に溺れたためのひとつの流行です。
 日本の戦後は生産者重視社会のまま今日まで来てしまいました。

現在も生産者重視社会です。21世紀は「生活者重視社会」に変えなければならないんです。

法律も経済も社会システムも教育もすべてそうです。

これからも私は、大いに啓蒙していきたいと思っています。