・メディカルケアとセルフケア
薬の処方を受けるなど医療機関における治療(メディカルケア)とは別に、患者自身が生活上さまざまなことに気をつけると発症を遅らせることができたり、軽く抑えることができる。
こうした患者自身ができる対策をセルフケアと呼ぶ。
多くはアレルゲンの回避と除去が目的であり、考え方によってはもっとも重要な治療といえる。
薬局・薬店において市販薬(大衆薬)を購入して使用するのはセルフメディケーションというメディカルケアであり、かつセルフケアでもあるといえよう。
薬物治療(対症療法)
抗アレルギー薬
= 定義
=
薬剤の分類や呼び方は少々の混乱が生じている。
専門家における呼称と一般に広く用いられる呼称も異なったまま慣用されている。
花粉症はアレルギーであるため、その治療に用いられるものは抗アレルギー薬といえる。
それらは薬理作用により以下のように大別できる(広義ではステロイド薬をも含めて抗アレルギー薬と考えることもある)。
肥満細胞からのケミカルメディエーター(化学伝達物質)の遊離を抑えるもの(ケミカルメディエーター遊離抑制薬。
肥満細胞安定薬とも)
# 遊離された後のケミカルメディエーターの作用を阻害するもの(抗ケミカルメディエーター薬:抗ヒスタミン薬、抗プロスタグランジン・抗トロンボキサン薬、抗ロイコトリエン薬など。
受容体拮抗薬とも)
専門的には、1. の遊離抑制作用のみを抗アレルギー作用と呼ぶ。
よって、1. の遊離抑制作用のある薬のことを抗アレルギー薬と呼ぶ。
これは、初のケミカルメディエーター遊離抑制薬であるクロモグリグ酸ナトリウムのことを、ヨーロッパの一部において抗アレルギー薬( anti-allergic drug )と呼んだことに由来している。
しかし、遊離抑制作用を持つものを抗アレルギー薬と呼ぶと定義すると問題が生じることがある。
抗ヒスタミン薬の中には、抗ヒスタミン作用の効果だけでなく、ケミカルメディエーター遊離抑制薬およびケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つもの(これを第二世代抗ヒスタミン薬と言う。
)があり、第二世代抗ヒスタミン薬も抗アレルギー薬に含まれるという分類になる。
患者向けとして広く一般に用いられている呼称はこれが多く、第二世代抗ヒスタミン薬は抗アレルギー薬として普及してしまっている。
一方、ケミカルメディエーター遊離抑制作用のない第一世代抗ヒスタミン薬は、単に抗ヒスタミン薬と呼ばれることが多い。
こうした薬剤の分類や呼び分けは、医師・研究者や治療する疾病の分野によってやや異なることがある。
一般向けに出版されている書籍での説明や、インターネット上の花粉症・アレルギーの説明を行う各種サイトによっても、微妙に異なる場合がある。
たとえば、第二世代抗ヒスタミン薬をさらに細分化し、第三世代とのカテゴリーを設ける医師・研究者もいる。
過去にケミカルメディエーター遊離抑制薬(抗アレルギー薬)のことを体質改善薬ということがあったが、抗ヒスタミン薬とは作用機序が異なる事実においてそのように呼ばれただけであり、いわゆるアレルギー体質は改善されない。
アレルギーの発症を予防する効果もない。
便宜的に患者に対してそう説明されることがある。