・B. 報告書の目的
この報告書は14 人の科学者、公衆衛生と公衆政策の専門家によって、電磁場の科学的証拠を立証するために書かれた。
12 人の外部の評者が調べ、報告書を精緻なものにした。
この報告書の目的は、現在の公衆被曝限度値以下の電磁波の健康影響に関する科学的証拠を評価し、将来の公衆衛生リスクの潜在的な可能性を減らすために、現在の基準でどのような変更が正当だと認められるのか、その数値を求めることだ。
この問題については、まだ全てが明らかになっていない。しかし、世界のほとんど全ての国で、電磁波レベルを制限する現在の公衆安全基準が数千倍緩いのは明らかで、変更が必要だ。
新しいアプローチは、被曝の発生源について一般の人々と政策決定者を啓蒙するために、そして同レベルの潜在的な健康リスクがない選択を見つけるために必要とされる。
一方、変革するための時間がまだある。科学者と研究者、公衆衛生政策の専門家からなるバイオイニシェイティブ・ワーキング・グループは、現在の公衆被曝基準の適切さ(または不適切さ)に関する国際的な議論で考慮されるべき情報を、証拠に基づいて立証するために参加した。
この報告書は、国際的な研究の結果で、弱い電磁場(無線周波数電磁[RF] と電力周波数[ELF]の両方について、そして生物活性があることが分かっている複合的な被曝のさまざまな形態について)で発生する生物学的影響で何がわかっているのか、全体像を与える公衆政策の第一歩だ。
報告書は研究と現在の基準を検討し、それらの基準が適切な公衆衛生保護から、ほど遠いことを発見した。
アメリカ、イギリス、オーストラリア、多くのEU諸国と東欧諸国の団体が世界保健機関(WHO)と同様にこの問題を活発に議論してきたことを正式に認め、バイオイニシェイティブ・ワーキング・グループは、独立した科学と公衆衛生政策の批評過程をまとめてきた。
この報告書は、この問題に関する確固とした科学を提示し、政策決定者と
一般の人々に勧告する。
各著者の結論と、相対的な結論は表2-1(訳注:未訳)で示す。
弱い電磁場の影響を確認する重要な科学的研究と批評を引証した計11 章は、バイオイニシェイティブ・ワーキング・グループのメンバーによって書かれた。
セクション16とセクション17 は、公衆衛生と政策専門家によって用意された。これらのセクションは、どんな証拠が公衆衛生計画に用いられるべきか、慎重な公衆衛生政策の場面で科学的情報がどのように評価されるべきか、利用できる知識に応じた予防的行動と用心のための行動を採用する根拠を確認するための証拠の基準を議論する。
新しい公衆安全制限の勧告につながるELF の科学的証拠も評価した(予防的行動や用心のための行動ではなく、必要性を実証するために)。
その他の科学的評価団体や学会は、新しい公衆安全制限につながるかもしれないあらゆる結果を除外するほど、不合理性が高い証拠の基準を採用することで、私たちと異なった結果に達していた。いくつかの団体は、現在の(そして不適切な)基準を緩めるよう、実際に勧告している。
なぜ、こんなことが起きたのか。理由の一つは、ELFとRFの被曝制限が、伝統的に勧告を作ってきた専門機関に属する科学者と技術者の団体によって作られ、政府機関がそれらの勧告を採用してきたことだ。
基準設定のプロセスは少なく、たとえあったとしても、利害関係がある外部の専門的技術者や商業上の関心と密接に結びついた利害関係者から提供される。
公衆衛生の専門家が定めたものを受け入れるというよりは、許容できるリスクと有害さの証拠に関する企業見解の影響力が最も大きい。