シックスクール対策連絡協議会報告書24 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・6 まとめ
1) 江東区立元加賀小学校において耐震・改修工事終了後、シックスクール症候群の問題が発生し、それを受けて江東区立元加賀小学校シックスクール対策連絡協議会が発足した。
2) 化学物質気中濃度が高くなった原因を調査するために、MSDS 調査、検知管による調査、チャンバー法を用いた建材測定、FLEC 法、ADSEC 法を用いた現場実測を行った。
3) MSDS の調査結果より工事に使用された材料のうち、明らかにトルエンを含んでいるものとして、庇や屋上パラペットに使われた防水材とサッシ廻りや耐震補強部に使われたシーリング材裏側のプライマー(下地処理剤)が挙げられた。

また、揮発性の溶剤を含んでいるため、トルエンを発生させた可能性のあるものとして、鉄骨ブレース、窓枠、カーテンボックス、巾木、出入口扉などの部、鉄部の塗料に使用したSOP と呼ばれる合成樹脂調合ペイントとこの溶剤として使用したシンナーが挙げられた。
SOP のトルエン含有に関しては、密閉チャンバーによる測定によって確認した。
4) 検知管による調査では、トルエン及び芳香族炭化水素類の発生源として、耐震鉄部やドア、巾木などの建具の木部に使われたSOP 塗料が挙げられた。

また、教室外部における使用ではあるが、サッシ廻りや耐震補強部に使われたシーリング材裏側のプライマー(下地処理剤)もトルエン及び芳香族炭化水素類の室内濃度に影響を与えていた可能性も考える必要があることがわかった。
5) 検知管による調査では、トルエン及び芳香族炭化水素類発生源の原因としてSOP 塗料が挙げられ、MSDS 調査結果と同様の傾向を示した。

また、SOP 塗料からはホルムアルデヒドなどアルデヒド類も高濃度に検知されていたため、室内空気質に影響を与えたと考えられた。
6) チャンバー法による建材測定では、測定した建材のうち最もトルエンの放散速度が高かったのは、庇のウレタン防水であり、他に比べて著しく高放散していた。

また、屋上パラペットに使用された防水材からもトルエンは高放散していた。

4 階以外の教室などにおいても初期にトルエン気中濃度が高かったこと、両者とも外部にて用いられる材料であることから、可能性としては疑われるが室内に非常に大きな影響を与えたとは考えにくい。

また、トルエンよりもキシレンが全体的に高放散であった。

密閉したチャンバー内でSOP 塗料を測定した結果、トルエンも高濃度となった。

このことから、教室の換気回数が小さい状態では、初期に高濃度になっていたと考えられた。
7) FLEC 法及びADSEC 法を用いた現場実測では、ロッカー棚、掲示板、壁、天井などの各部位からの化学物質放散速度を測定した。