・8) FLEC 法の測定では、塩ビ床、天井、掲示板からのトルエン放散速度が高い値を示した。
MSDS 及び検知管による調査で原因の一つとして挙げられていたSOP を塗布した現場におけるドアからは高い放散速度を検出できなかった。
9) ADSEC 法の測定では、天井からのトルエン放散速度が高い値を示した以外は、ほぼすべての測定箇所で同程度の値になり、FLEC 法と同様の傾向を示した。
一方、材料単体での測定ではトルエンがほとんど確認できなかった内壁複層塗剤E からも他の内表面からと同様の放散が確認された。
このことから、初期に一次放散で室内に充満した化学物質が各面に吸着、拡散し、二次放散をしている可能性が考えられた。
10) 教室内の各面が二次放散をしていることを考慮すると、現在の状況で室内気中濃度に大きな影響を与えた箇所を特定することは非常に困難であった。
11) しかし、6 月以降の測定で最上階である4 階の気中濃度が多少高かったこと、FLEC 法、ADSEC 法の測定結果では共に天井の放散速度が比較的高い値を示していたことから、屋上に使用された防水材から放散されたトルエン、キシレンなどが天井裏コンクリート面のクラック(亀裂)を通じて、室内に拡散している可能性も考えられ、ADSEC 法を用いて9 月に追加調査が行われた。
その結果、キシレンに関して、クラックの有無によって、3 階か4 階かによって差が見られた。
改修工事完了後の一定期間はクラックからの放散が室内気中濃度に何らかの影響を与えた可能性が示唆された。
12) PFT 法を用いて、換気量測定を行った。
教室の換気回数(新鮮外気導入量)が0.1 回/h となり、通常の状態での換気量の少なさが気中濃度を低減させにくくしていたと考えられた。
13) 各測定結果を受け、7 月末~8 月末の間に以下の室内空気質改善策が施された。
① 1~4 階の未設置室に常時稼動式換気扇(換気回数2.2 回/h)および給気口の設置
② 1~4 階教室の木製ドア、掃出し建具の取り替え
③ 4 階教室の掲示板裏壁の清掃、新規掲示板の取り付け
④ 4 階教室天井裏の仮設送風機による送風・換気
⑤ 1~4 階教室の床および壁面を中性洗剤でクリーニング
14) 夏期に行われた改善策完了時にモニタリングを行った。
その結果、当初に比べ各化学物質気中濃度は大きく減衰し、低い値となった。この要因としては、換気扇設置等による換気量の増大も影響しているが、床、壁等のクリーニング、木製ドア、掃出し等建具及び4 階教室掲示板の取り替え、4 階教室天井裏の送風機による送風・換気といった改善策も大きく影響しているものと考えられる。
15) 10 月29 日の気中濃度モニタリングの結果は、気温がこの時期としては、4 階で23.5°C~25.5°C と高く、換気扇を止めた状態であるにも拘わらず、トルエン濃度が5 年2 組で34.3μg/m3 と基準値の260μg/m3 を大幅に下回る濃度に低減された。
また、10 月30 日の24 時間換気扇を稼動しての測定結果も、全ての室において4 物質とも概ね外気と変わらないほどの低濃度に低減され、室内各建材からの放散が極めて少ない状況にあるといえる。
16) 学校環境衛生の基準で定められた物質のみの調査を行ったが、10 月30 日の測定でTVOC や他のVOCs濃度についても測定を行い、厚生労働省の指針値(TVOC については)暫定目標値を下回っており、現状で測定可能な揮発性有機化学物質の測定値に関しては十分低い濃度が確認された。
17) 外気のトルエン濃度が比較的高い測定値となっており、今後は周辺の工事などにも十分注意する必要がある。
18) この協議会で化学的な測定値に関して十分低い濃度が確認されたものの、児童生徒によって化学物質に対する感受性が異なり、過去に何らかの症状が起きた空間に戻ることで再び発症する可能性も全く否定できるわけではない。
そのため、測定値をもって単純に安全とするのではなく、旧白河小学校から元加賀小学校に戻る際には、きめ細かい対応を希望したい。
runより:長い記事でしたがやっと終われました( -。-) =3
しかし胆沢第一小学校でもここまでやって欲しいものです。