・初期に一部の教室で気中濃度が基準値を超えたトルエンに関して、測定した建材のうち最も放散速度が高かったのは、庇のウレタン防水であり、他に比べて著しく高放散であった。
屋上パラペットにも同様の防水材が用いられている。
しかし、初期に4 階以外の教室などにおいてもトルエン気中濃度が高かったこと、両者とも外部にて用いられる材料であることから、室内に非常に大きな影響を与えるとは考えにくい。
他の部位については、何れも低放散であり、同程度の値であった。
このことから、測定した室内の各部位に関しては、特に高放散でトルエンの主発生源と疑われる建材はなかった。
1 日後と3 日後の測定結果を比べると、表面にSOP 塗料が塗布されたドアやSOP 塗料は減衰が大きかった。
建材を切り出した時期が工事終了から数ヶ月間経っていること、木片にSOP 塗料を塗布してから測定までに1 ヶ月間経過していることから、改修工事完了直後には多くのVOCs が放散されていた可能性がある。
キシレンに関しては、接着剤を除いて全体的にトルエンよりも高放散であった。特に、庇のウレタン防水、塩ビ床、SOP 塗料の放散速度が高く、室内では塩ビ床が主発生源であると考えられる。
1 日後と3 日後の測定結果を比べると、ウレタン防水、木製床を除いては大きく減衰していた。
ホルムアルデヒドに関しては、ドアが最も放散速度が高かった。
特記仕様書からFc0 等級品を用いているが、表面に塗布されている塗料に関しての規制は当時なかった。
また、検知管による簡易測定で検出されたSOP 塗料からも放散されていた。一方で、簡易測定では低濃度であった複層塗材E が塗布されている壁からの放散が比較的高かった。
他の部位から放散されたホルムアルデヒドが壁面に吸着し、二次放散している可能性が考えられる。
また、掲示板からの放散も確認された。
下地合板にはFc0 等級品を用いているが、表面の発砲レザーやそれを貼るための接着剤から放散している可能性がある。