4-3-2 SOP 塗料の放散量調査
(1) 調査目的
小形チャンバーを用いた放散速度測定では、MSDS や検知管による調査で高放散と疑われたSOP 塗料の測定値が他と比べて著しく高い結果ではなかった。
これは、塗布してから測定までに1 ヶ月間経過していることや、換気回数0.5 回/h の条件で測定したためと考えられる。
しかし、後述の換気量測定結果から、改善策を施す前の閉め切り時における教室の換気回数は0.1 回/h であり、塗布初期にはチャンバーによる測定時よ
りも高い放散速度で教室内に化学物質が放散された可能性がある。
そこで、元加賀小学校で使われたSOP 塗料からの塗布初期の放散量を測定し、SOP 塗布直後の教室内飽和濃度を推定することを目的とした。
(2) 調査概要
(2-1) 調査対象
元加賀小学校の教室などにおいて使用されている SOP 塗料を塗布時と同様に塗料用シンナーを混合したものを対象とした。SOP/シンナー=100/20 の割合で調整し、塗布面積80cm2 でSUS 板に1 回塗布したものを測定した。
(2-2) 調査方法
20L 小形チャンバーを用いて測定した。チャンバーにSOP 塗料を塗布したSUS 板に設置後、密閉し、24 時間後にチャンバー内濃度を測定した。Carbopack B/Carboxen100 を充填した捕集管にて0.2L サンプリングし、
トルエン、キシレンなどのVOCs を測定した。測定条件を表4-16 に示す。
(3) 調査結果
トルエン、キシレン、TVOC の測定結果を表4-17 に示す。値はダブルサンプリングの結果である