・岐阜県教委
県教育委員会は昨年9月と11月、県内の全公立学校を対象に、児童生徒らの化学物質過敏症の実態調査を行った。都道府県単位で全公立学校を対象とした同様の調査は東海3県で初めて。
調査の結果、過敏症とみられる児童生徒が12人いたことが分かり、過敏症の児童生徒がいた学校側は床ワックスを使わないなどの対応を取っているという。(倉橋章)
今回の調査対象は、県内の公立小中高校と特別支援学校、幼稚園の731校・園。県教委は昨年9月、文部科学省の学校健康教育の推進に関する調査に過敏症の質問項目を加えた。その結果、「化学物質過敏症の児童生徒が在籍している」と回答した学校に対し、同11月に県独自で追加調査を実施した。
調査結果によると、過敏症の児童生徒12人の内訳は、「化学物質過敏症の診断がある」8人(小学生2人、中学生5人、特別支援学校1人)、「診断はないが保護者の申し出」4人(小学生3人、中学生1人)だった。
主な症状(複数回答)として、最も多いのが頭痛や皮膚のかゆみ、目がチカチカする各7人。次いで、のどの痛みやめまい、精神状態の不安定各5人、発熱3人、鼻水や関節痛各2人。
また、過敏症の原因となる物質(同)では、塗料10人が最も多く、芳香剤・消臭剤と香水・制汗剤・整髪料各9人、床ワックスや合成洗剤、防虫剤など各7人、殺虫剤や化粧品各6人、本のインク4人などをあげている。
この結果を受けて、学校側では、床ワックスやトイレの芳香剤・消臭剤など過敏症の原因となるものを使わないようにしているほか、頻繁に教室を換気したり、校内で香水や整髪料などを自粛するよう呼びかけたりしているという。
県教委は2008年、シックハウス症候群などの対応マニュアルを作成したが現場への周知や対応が行き届いていないのが現状だ。県内で化学物質の危険性や過敏症の予防対策などを訴える「香料自粛を求める会」の小沢祐子代表は「過敏症への認識が不足している。
学校現場でマニュアルを生かした教員教育や対応を指導してほしい」と訴えている。
(2011年1月25日 読売新聞)