・(5)使用方法を海外(米国)と比べると、単位面積当りの使用量が、日本の方が米国よりも過剰であるケースが多い。
例えば、ブドウの場合、米国では0.05 lbai/A(5.6 g ai/1000m2)だが、日本では70 g ai/1000m2が上限である。
日本の単位面積当りの使用量は、実に米国の12.5倍である。
ブドウにおける日本での過剰な使用量の設定が、米国の10倍以上の残留値となり、10倍以上の残留基準が要請されたのである。
ブドウは米国でも日本でもブドウである。
米国の使用量で殺虫効果が得られるのであれば、日本でも実施可能である。
他にも、リンゴや桃(4.2倍)、ジャガイモやトマト(3.6倍)、メロン類(2.7
倍)、かんきつ類(2.5倍)、イチゴ(2.1倍)など大部分の作物の使用量が、
米国よりも過剰に設定されている。GAPは、そもそも環境や収穫物への農薬の残留を最小に抑えるための方法と規定されている。過剰な農薬の使用は、収穫物のみならず、環境への過剰な農薬の残留となり、ミツバチの大量死との関連もありうる。
日本の使用方法をGAPに即したものに改定すべく行政指導を行う必要がある。
(6)野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒患者は、未報告だからな
いのではなく、その認識がないから報告がないのである。
アセタミプリド中毒の症例報告には、頻脈、脱力感、血圧低下、体温低下、代謝性アシドーシス、発作性心房発作が認められた(戸谷ら、中毒研究21:387-390、2008)。
アセタミプリドはニコチン受容体に作動する。心電図異常はアセタミプリド中毒の重要な症状と考えられる。
心電図のない動物の一般薬理試験の結果を、人の臨床報告よりも重要視することは、本末転倒である。さらに患者の尿からSCNが検出された。
シアンがアセタミプリドから生成し、アシドーシスを引き起こした可
能性がある。化学物質過敏症やシックハウス症候群も、その実態が理解されるまでないとされていた。
水俣病の原因解明が遅れたことが、患者の増大を生み、解決の長期化の原因にもなった。
厚労省は、緊急に、野菜・果物の大量摂取によるアセタミプリド中毒を調査する研究班を設置し、十分な人員と費用と時間を掛けて解明する必要がある。