・イ.畜産物のアセタミプリド残留基準値に代謝産物IM2-1も含むとしたのは評価する。
ウ.しかし、今回提示されたアセタミプリド残留基準値の下げ幅は不十分であ
る。
その理由として、
(ア)たとえば茶葉においてアセタミプリドは、投与後数日で部分的に代謝され、原体としてほとんど検出されなくなる、というデータが出されている(Guptaら、
Food Chemistry 111 (2008) 805-810)。
この結果はメーカーの提出したデータと矛盾するが、検証に値するものと考える。
アセタミプリドは代謝産物にも生物活性があるため、アセタミプリドを用いて栽培された植物にアセタミプリド原体がほとんど検出されないからといって安全とは限らないこともあるらしい。
代謝産物が植物体内に大量に存在しているかもしれないことを考慮すれば、
アセタミプリド残留基準値のADIに対する安全率は、少なくとも10倍多く見積も
るべきである。
すなわち、残留基準値を、現行の10分の1以下にするのが適切である。
(イ)アセタミプリドの残留基準値の設定にあたって、農薬使用基準に基づいて
栽培された作物の残留値をもとに算出されているが、そもそも、この使用基準
が適切なものであるかどうかの検討が不十分である。
日本の農薬使用基準によれば、欧米の10倍以上の単位面積当たりの量が散布可能である。
不必要な過剰散布を国が奨励している可能性が、今回の見直しでは検討されていない。
見直しの前に、まず再度アセタミプリドの使用基準が適正であるか、検討する必要がある。
(ウ)現行の残留基準値では、果物などを多量に摂取するとARfDを超過する。健康障害防止の観点からすると、季節的に多量摂取の可能性のある食品、たとえばぶどう、なし、もも、りんご、みかんなどのアセタミプリド残留基準値は、現行の10分の1以下に下げる必要がある。