・中性線の複数接地についても触れることで、正味電流の概念について紹介したが、正味電流の発生には二つの別の要因があることに留意すべきである。それは、第一に、2 つの近接する回線が接触し、その中性線が接続されている場合、第二に、家庭での誤配線、電気製品の誤使用により、意図せずに中性線に接地される場合(この現象は恐らく英国の20%以上の家庭で発生し、米国においても一般的である)である。
いずれのケースも、ケーブルからの中性線電流流出を許容する結果となり、正味電流を生じる。実際の状況においては、これら3 種類のメカニズムのいずれにおいても正味電流が生じる可能性があるが、2 つまたは3 種類全てを組み合わせた状況が起こる可能性の方が高く、これから生じる磁界は、メカニズムによって生じた磁界の影響は受けない(Maslanyj 等、2007)。
架空配電線については、単一のケーブル内で相導体同士が近付いている場合がある。但し、地中配電線ほどには接近していない場合がほとんどで、負荷電流からは、正味電流と同様、かなりの界が生じる可能性がある。
正味電流は依然存在し、正味電流および相導体の電流の両方から磁界が生じる。
正味電流の大きさは中性線電流の大きさに依存し、結果的に相導体の電流の大きさにも依存する。
これは負荷の有無に伴う時間に応じて変化する。実際に、電力使用は1 日ごと、および年間で特性が変化することを示している。
正味電流は負荷に直接依存しないため、時間と全く同じようには変化しないが、正味電流(およびそれにより生じた家庭のバックグラウンド磁界)は、時間と共に特性が変化する。