中性線を接地するときは必ず、中性の電流がケーブルから逸れて地面自体に流れ込む可能性があり(あるいは、水道管などの接地された適当な導体の設備に逸れることが多い)、異なる経路を通って最終的には変圧器および変電所に戻る可能性がある。
ケーブルから中立電流が逸れるとすぐに、ケーブルに残留している電流の均衡が失われる。
この現象は例えば、中性線電流が均等でなくなり、零相電流の逆になった、など多様に説明できる。
この状況の最も一般的で有用な説明は、ケーブルには正味電流、つまりケーブルを流れる全電流の非零ベクトルの和だけが流れている、という表現である。
接地電流-逸脱した中性線電流-は水道管など様々な導体の役割を果たすものの上を流れ、家庭内を通過する可能性がある。
このようなことが起こっている場合、家庭内で界が強くなっている区域が存在しうる。
この正味電流には明らかに帰還経路が存在する(電流は全て完全な回路にしか流れない)。
但し、水道管、地面による、あるいはその他の配電回路または同一の回路の延長上の帰還経路は、正味電流のケーブルから比較的遠い位置にある。
従って、任意の場所、たとえばケーブルで供給される家庭においては、ケーブルおよびその帰還経路から生じる磁界はほとんど相殺されない可能性がある。
多くの場合、家庭での磁界は、帰還電流を全て無視し、供給用の配電ケーブ
ルの正味電流に基づく計算で正確な値が得られる。
正味電流は-典型的には1A から数A 程度-と低い傾向にあり、正味電流から生じた磁界は地中の送電線から直接生じた磁界よりも低い傾向がある。
但し、送電線から距離のある家庭(ほとんどの国において該当する)では、家の外には磁界を生じる主要な発生源は他にないため、正味電流は界を生じる主要な発生源となり、正味電流により生じた界は、普通「バックグラウンド界」と呼ばれる。
帰還経路が離れていて、界が単一の正味電流から生じていると考えると、発生源からの距離を超えた場合、界は小さくなり、一般的な家庭の量を若干超える程度に変化する。