・2.2.2.2.3 配電線
電力システム技術においては、送電線と配電線を区別することは一般的である。
送電線は高電圧(数十kV 以上)で、格子状の鉄塔、堅固な金属あるいはコンクリート構造で構成され、大電流(数百、場合によっては数千A)を流すことが可能で、電力の長距離大量供給に使用される。
配電線は通常低い電圧(数十kV 以下)で、低い電流用に設計された木製の電柱や単純な構造物を通り、各家庭への最終的な電力供給を含む、より局所的な配電に使用される。
配電線は、送電線にはめったに存在しない中性線を有する場合がある。
電界および磁界の発生という観点から見ると、送電線と配電線の違いは、種類と言うよりは程度の違いである。
回路の電圧が低下すると、一般的には導体間の空間と負荷も減少する。
これらの要因は、どちらかと言えば、電圧が低下すると電界および磁界も小さくなることを意味することになる。
従って、概念的には、接地電流のない配電線には送電線との違いはなく、小
さい界を生じるだけである。
現実には、送電線と配電線の主な相違はたいてい、配電線には接地電流があるが送電線にはないという点である。
送電線の説明における状況は、中性点がその長さのほとんどを接地から分離されている配電回路にもあてはまる。
多くの場合、中性点は大抵、ケーブルに電源供給する変圧器または変電所、あるいはその近くの接地に一度接続されるが、それが唯一の接地接続である。
しかし、多くの国において、変圧器または変電所のみならず、距離に沿った更に遠い地点での中性点への接地は、安全がより強化されると理解されている。これを実施した場合、中性点は複数の場所で地面そのものに接続され、構成によっては、中性点と接地導体は別々というより、連結した中性接地線になる場合がある。
これは、世界中の配電線の基本である。実際のシステムは、このように単純な説明より複雑で、大抵はこれに関連する多くの規制や慣習がある。但し、現在の目的については、多くの配
電線は中性線の延長上の複数の点において接地されていると記述するだけで十分である。表8に、様々な国における状況を要約する。
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・表8 各国の配線方法
国名 配電接地方法について分かっていること 情報源
オーストラリア各家庭の入り口で中性線は接地 Rauch 等、1992
フランス複数接地は存在しないはずである
ドイツ都市部:中性線は複数接地(任意だが一般的)農村部:中性線は一般的には接地されていないRauch 等、1992
日本複数接地は一般的ではないが、特定のモーターおよび電気通信機器で行われることがあるRauch 等、1992
ノルウェー複数接地は存在しないはずである Vistnes 等,1997b英国複数接地はより一般的になっている。
64%以上の回路が複数接地 Swanson、1996
米国中性線の複数接地が一般的 Rauch 等、1992