WHO 環境保健超低周波健康影響10 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・1.1.11 健康リスク評価
WHO憲章によれば、健康とは完全な肉体的、精神的および社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない。

リスク評価は、健康または環境上の結果の評価に関連する情報の構造的なレビューのための概念的な枠組みである。

健康リスク評価は、あるばく露が特定の行動を必要とするかどうか、また、そうした行動の実施に関する決定を下すのに必要なすべての活動を包含する、リスク管理に対するインプットとして利用可能である。

ヒトの健康リスクの評価において、ヒトに関する具体的なデータは一般に、利用可能な場合にはいつでも、動物データよりも有益である。

動物およびin vitro研究は、ヒト研究からの証拠を支持したり、ヒト研究からの証拠に残されたデータのギャップを埋めたり、ヒト研究が不十分または存在しない場合においてリスクについての決定を下すのに用いることができる。
すべての研究は、肯定的または否定的な影響のいずれについても、それ自身の特徴に基づき、そしてその後の証拠の重みアプローチにおいて全体として、評価・判断する必要がある。

どれくらいの証拠のセットがあれば、ばく露がある結果を生じる確率を変化させるかを決定することが重要である。

一般に、ある影響についての証拠は、異なる種類の研究(疫学および実験室)で同様の結論が示された場合、および/または複数の同種の研究で同じ結果が示された場合、さらに強められる。
急性影響
100kHzまでの周波数範囲のELF電界および磁界へのばく露については、健康に対して悪影響を生じうる急性の生物学的影響が認められている。

ゆえに、ばく露限度が必要である。

この問題に対処する国際ガイドラインが存在する。

これらのガイドラインを遵守することにより、急性影響に対する適切な防護が得られる。
慢性影響
日常的な、慢性的な低強度(0.3~0.4μT以上)の商用周波数磁界へのばく露が健康リスクを生じるということを示唆する科学的証拠は、小児白血病のリスク上昇についての一貫したパターンを示す疫学研究に基づいている。

ハザードの評価には不確実性があり、これには、磁界と小児白血病との間に観察された関連性に関係している可能性がある、選択バイアスおよびばく
露の誤分類のコントロールが含まれる。

加えて、事実上すべての実験室での証拠およびメカニズムに関する証拠は、低レベルのELF磁界と生物学的機能または疾患状態の変化との関連を支
持することができていない。

ゆえに、結局、因果関係があると考えるほどには証拠は強くないが、関心を残すには十分に強い。
磁界ばく露と小児白血病との間の因果関係は認められていないものの、政策に対して潜在的に有益な情報を提示するため、その因果関係を仮定した上で、公衆衛生上のインパクトの可能性が計算されている。但し、この計算はばく露分布およびその他の仮定に大きく依存し、ゆえに極めて不正確である。(磁界と小児白血病との間の)関連性が因果関係であると仮定すると、磁界ばく露に帰することができるかもしれない小児白血病の症例数は世界全体で毎年100~2,400人と推定される。但し、これは2000年に49,000人と推定されている小児白血病の年間発症数の0.2~4.9%に相当する。

ゆえに、地球規模では、公衆衛生上のインパクトは、仮にあったとしても限定的で不確実であろう。
その他のいくつかの疾患が、ELF磁界ばく露との関連の可能性について調べられている。

これらには、小児および成人のがん、うつ病、自殺、生殖機能障害、発育異常、免疫学的変異および神経学的疾患が含まれる。ELF磁界とこれらの疾患とのつながりを支持する科学的証拠は、小児白血病についてよりもさらに弱く、いくつかの場合(例えば、心臓血管系疾患や乳がん)においては、磁界が疾患を誘発しないと確信するのに十分な証拠がある。