・このような環境維持の努力の下ではじめて空気清浄度が維持可能となっている。港区白金の大気汚染は、メタン換算でしばしば2,000 3,000 マイクログラム/立方メートルに達しているが、ECU室内ではほぼ50 マイクログラム/立方メートルと良好な値を保っている。
ホルムアルデヒドに関して言えば、2ppm 以下となっており、現在の技術水準としては最高の状態にあると言える。
2)診断と臨床検査結果
問診が最重要な方法である。そのために現在は患者の受診前に13枚綴りの問診票を患者に送付して、その完全な記載を待って診療を開始している。
その現在使用している問診票を参考のために添付する(資料2)。
化学物質過敏症診断のためには他の器質的疾患を除去する必要があり、一般臨床検査を原則的に行っている。
それらの検査で器質的疾患を除去したのち、神経系の機能検査として以下の検査を行っている。
眼電位図:
Electroculography EOG と称される、眼球の追従運動検査を行っている。使用機器はOber2 である。
患者には滑動性追従運動の障害が認められている。
コントラスト感度測定:
視覚の非常に鋭敏な検査法である。この検査で、視神経から視中枢の機能異常を検出出来る。視力良好といえども、コントラスト感度の低下が認められている。
電子瞳孔計検査:
瞳孔は自律神経で動く。光を瞳に入射して、その反応を観察すれば、自律神経の機能が分かる。
赤外線モニターで瞳孔の動きを観察して、種々なvariables を設定してその機能を解析する。患者の多くに自律神経異常が検出される。
SPECT(Single Photon Emission CT)検査:
アイソトープを利用した脳血流検査である。
脳の血流低下がしばしば認められるが、時に血流増加も認められる。
これらの結果は日本臨床環境医学会機関雑誌「臨床環境医学」に印刷中である(平成12年1号)。
このような検査に今回さらに以下の2検査を追加している。患者の中枢神経機能検査を目標に行っていると言える。
1.自動瞳孔視野検査(Pupilperimetry):
瞳孔は光を感じると縮瞳する。
この反応を利用して他覚的に視野を測定する事が出来る。
患者の中枢神経の機能、特に視覚中枢の異常を他覚的に検査出来る。
目下正常データーを固めと同時に患者データーを集計中である。
2.ECUでのガス負荷試験
種々なガスを患者に負荷してその患者の自覚症状、電子瞳孔計検査、近赤外線酸素モニターによる脳血流量の測定を行っている。
自覚症状:
図13 に示すような単純化した問診票にガス負荷ぜんごで患者に記入してもらい、自覚症状を比較する。
点数はあえて付けず、患者の症状の固定化、誘導を排除するように考慮しある。