・ii)実験アレルギー性結膜炎におよぼす化学物質総負荷量の影響
化学的空気清浄室内に7週齢の雄ハートレー系モルモットを入室させ、実験5日目に抗スギ花粉血清を静脈注射し、13日目に化学物質負荷試験を行い、15日目に対照の普通飼育室での同様処置の動物群と比較した。
ホルムアルデヒド負荷は実験1)の結果を踏まえて80ppbの濃度で花粉点眼前2日間、すなわち実験13日目からの2日間とした。
実験15日目にエバンスブルー静脈注射と同時にスギ花粉を点眼し、その結膜への漏出を測定したののは実験1)と同様である。
理解の便のために図3に実験方法の概略を示す。
有機リン殺虫剤トリクロロフォン投与量は過去の難波論文を参考に(図4)花粉症の増悪作用が明らかな1μg /kgを花粉点眼2日前の皮下投与とした。実験方法の概略を図5に示す。
2)実験結果
1)実験アレルギー性結膜炎におよぼすホルムアルデヒド濃度の影響の測定結果
図6に示すように、ホルムアルデヒド曝露濃度が80ppbであると、対照に比べて、有意に増悪が認められた(p<0.05)。16ppbでは差が認められなかった。
2)実験アレルギー性結膜炎におよぼす化学物質総負荷量の影響の実験結果
ホルムアルデヒド80ppb曝露実験では、普通室飼育室での実験では著明な増悪作用が認められたが、化学的清浄室飼育では、その増悪作用が有意に弱く現れた(p<0.05)(図7)。
有機リン殺虫剤トリクロロフォン投与実験では、化学的清浄室飼育により、普通室飼育に比較して有意にアレルギー性結膜炎が低く現れた(p<0.01)(図8)。