ネオニコチノイドのヒト脳への影響5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3)ネオニコチノイド代謝物の影響
 ネオニコチノイド類は植物や動物体内に取り込まれると、代謝されて化学構造が変化し、多様な代謝産物が生まれてくる。

その中には本来のニコチンに近い代謝物もあり、哺乳類のニコチン性受容体に対する結合性が数十倍以上高くなる場合がいくつもある。

脳の働きや発達におけるニコチンの様々な悪影響から類推すると、これらニコチン様代謝物も同様な影響が予想される。

つまり元のネオニコチノイドだけでなく、その代謝物がより強力なニセ・神経伝
達物質として毒性作用を示す可能性があるのである。
 またネオニコチノイドの中でもシアンを含んでいるアセタミプリドなどは、植物または動物における代謝の過程でシアンを産生する可能性があり、これ
は青酸カリの代謝物でもあり、毒性が大変高い。前述したヒト中毒症では、このシアンも関係していると青山医師・平医師等は推測している。

・4)ヒト発達期脳への影響
 さらに懸念されるのがネオニコチノイド暴露による、胎児、小児など脆弱な発達期脳への影響である。
脳の発達段階において、ごく初期からニコチン性受容体が成人とは違ったパターンで発現し、それが正常な脳の発達に重要であることがわかっている。

胎児期から青年期にいたるまで、脳幹、海馬、小脳、大脳皮質などの正常な発達に、アセチルコリンとニコチン性受容体が多様に関わっているのである。
ニコチンが発達期脳へ重大な障害を及ぼすことについては、疫学調査でも動物実験でも研究報告が多く、周知の事実となってきている。

ニコチンは胎盤を通過しやすく、母親の喫煙で胎児はニコチンに暴露される。動物実験では胎児期から成熟期にいたるまで、ニコチンが脳の発達に様々な経路で重大な影響を及ぼすことが明らかとなっている。

ADHDなど発達障害の子供の疫学調査では、母親の妊娠中喫煙との関連を指摘する報告が多い。
 ネオニコチノイドでは、ラットに経口暴露した場合、生まれた仔の行動異常、脳の形態変化が認められたという報告がある。

農薬評価のための発達神経毒性試験では、発達障害に関わるヒトの高次機能を反映できる試験は未だ義務とされていない。

タバコ由来ニコチンは禁煙で回避できるが、規制が不充分な食品中のネオニコチノイドは回避しづらい。

上述したネオニコチノイドとその代謝物がニコチン様の毒性作用により、脳発達に影響を及ぼさないか、綿密な調査研究が必要であろう。