・4. この病気の原因はわかっているのですか
原因 : 残念ながらまだ不明です。
しかし、免疫グロブリンの上昇、血清自己抗体が陽性、免疫抑制剤特に副腎皮質ステロイドが著効を示すなどの事実から自己免疫機序が病気の発病や進行に関わっていると考えられています。
つまり、本来自分の身を守るための免疫が自己免疫性肝炎では肝臓の細胞を攻撃するようになり、結果として肝臓の炎症を起こしているのです。
誘因 : 明らかな誘因はありません。多くの症例は検診での肝機能検査や、また、不定の全身倦怠感などで病院を受診、血液検査で異常を指摘されることで発見されています。
病態 : 肝障害による血中のGOT、GPTの上昇がみられ、重症の場合は黄疸も認められます。
自己免疫反応の結果として血中ガンマグロブリンが上昇、IgGの上昇(2000mg/ml以上)、さらに自己抗体が陽性となります。
陽性自己抗体としては抗核抗体が最も多くみられ約90%以上の患者さんはこの抗核抗体が陽性です。
しかし、この抗核抗体は自己免疫性肝炎に特徴的に認められるものではなく他の疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)でも95%が陽性となりますので、この抗核抗体が陽性となったからといって自己免疫性肝炎とは診断できません。他に抗平滑筋抗体も陽性となることがあります。
5. この病気は遺伝するのですか
自己免疫性肝炎は遺伝しませんが、組織適合抗原は親から子へと受け継がれますので、一般の人の発症頻度よりは子供では高くなると考えられます。
しかし、詳しい統計は難しく、きちんとした成績はありません。
家族内発生は比較的稀ですが、時に家族内で自己免疫性肝炎を発症する場合が報告されています。しかし、遺伝子異常は明らかにされていません。