4. この病気の原因はわかっているのですか
現在では2つの原因が考えられています。
1つは心臓の細胞にあるチャンネルと呼ばれるトンネルの異常です。
心臓が規則正しく脈を打つには、心臓の中で命令が正しく伝えられることが重要です。命令を正しく伝えるため、心臓の細胞はチャンネルというトンネルを使ってナトリウムやカリウムなどのイオンを出し入れします(図2)。
「QT延長症候群」の患者さんでは、このチャンネルが正常に働かなくなり、命令が正しく伝えられなくなります。
脈の乱れが起きやすくなるのはこのためです。
チャンネルに異常が起こる原因はチャンネルを作る際に使った設計図の誤り、すなわち遺伝子の異常です。
現在では4種類のチャンネルに遺伝子の異常が見つかっています。
これら遺伝子の異常は遺伝子診断で診断することができます。
しかし、この4種類のチャンネルの遺伝子に異常が見つからない患者さんも多く、他の種類のチャンネルにも異常があるのではないかと考えられます。
もう1つは心臓に命令をする神経の異常です。
この神経は交感神経と呼ばれ背骨の横に左右1本ずつあります。
交感神経の役割は心臓に脈を打つように命令することです。
正常では左右の交感神経から心臓へ送られる命令はバランスが保たれています。
「QT延長症候群」の患者さんでは、左側の交感神経の働きが右側より勝っておりバランスが崩れています。
しかし、なぜこのような交感神経のアンバランスが起こるかはわかっていません。