血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・6. この病気ではどのような症状がおきますか
先天性TTPであるUpshaw-Schulman症候群は生後間も無く上記症状で発症する最重症型ですが、学童期に発症するものや、稀に成人期以降に発症するタイプもあります。

この発症年令の差が何故なのかは未だ不明ですが、最近になって小児期に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と誤って診断されている症例で、妊娠を契機にTTPを発症し、本症である事が発見された例が多く報告されています。

後天性TTPでは、体のだるさ、吐き気、筋肉痛などが先行し、発熱、貧血、出血、精神神経症状、腎障害が起こります。

発熱は38℃前後で、ときに40℃を超える高熱を認めることもあります。中等度ないし高度の貧血を認め、軽度の黄疸(皮膚等が黄色くなる)をともなうこともあります。

血小板が減少するために起こる点状や斑状の出血がほぼすべての場合に認められます。

精神神経症状として、頭痛、意識障害、 錯乱、麻痺、失語、知覚障害、視力障害、痙攣などが認められます。血尿、蛋白尿を認め、腎不全になる場合もあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
先天性TTPであるUpshaw-Schulman症候群に対しては、2週間毎に新鮮凍結血漿10ml/kg体重を輸注し、ADAMTS13酵素を補充する事により発症を予防します。

後天性TTPに対しては、基本となるのは下記の血漿交換療法です。血小板減少に対して、初回に血小板輸血を行うと症状が急速に増悪しますので、これは「禁忌」です。

血小板輸血が必要な場合には、必ず血漿交換の後に行います。

また、この病気の治療においては全身管理が特に大切で、原因疾患がある場合には、その治療が必要です。

また、急激な腎機能障害の進行のために人工透析が必要とされることもあります。

(1)血漿交換療法・血漿輸注
血漿交換療法が第一選択です。

症状が軽い場合には新鮮凍結血漿の輸注で経過をみる場合もあります。

これらの治療に加えて、以下の抗血小板薬やステロイドが同時に使用される場合が多いです。

(2)抗血小板療法
血栓が出来るのを防ぐために、抗血小板薬が使われます。

(3)ステロイド療法
通常量の使用と、短期間に大量投与するパルス療法があります。

血漿交換療法にパルス療法を併用する場合が多いです。

(4)その他
難治性TTPの場合には、ビンクリスチンやガンマ・グロブリン製剤の使用、また時には脾臓摘出が有効な場合もあります。

最近、難治例にリツキサンという抗CD20キメラモノクロナール製剤の投与が有効であったという報告が多く見られるようになってきました(平成19年9月現在、保険未適用)。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
後天性TTPに対しては、血漿交換療法が導入されてから治療成績は素晴しく向上しましたが、稀にこれらの効果が十分に認められない症例や、また何度もTTP症状を繰り返す症例(難治・再発性TTP)に遭遇する事があります。

9. ADAMTS13活性はどこで測定していますか?
TMAは基本的に血小板輸血を避けるべき病態ですが、とりわけADAMTS13活性著減の定型的TTPでは、血漿交換療法前に血小板輸血を行う事は「火に油 をそそぐ(fuel on the fire)」と云う事になりますので、血小板輸血は絶対禁忌です。

ADAMTS13活性測定はこのように重要な検査で、最近簡便測定法も開発され、そのキットも市販されています。

また、複数の会社で受託検査として行っていますが、検査費用は未だ保険適用になっておりません。

測定を希望される方、もしくは興味ある方は奈良県立医科大学輸血部のホームページ(http://www.naramed-u.ac.jp/~trans/ )を御覧下さい。