血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)2 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・3. この病気はどのような人に多いのですか?
先天性素因のものと後天性要因のものとがあります。

前者は極めて稀ですが、生後間もなく重症黄疸と血小板減少で発症 するUpshaw-Schulman症候群という病名が知られています。

後者は2:3の比率で女性に多いとされていますが、罹患年令は子供から老人までと幅広く、原因不明に起こるものを特発性、また何らかの基礎疾患があって起こるものを 二次性あるいは続発性と言います。

4. この病気の原因はわかっているのですか?
肺を除く末梢の細小動脈(特に脳、腎臓、そして冠状動脈)が血小板血栓で閉塞する事によって起こります。この原因として現在二通りの説があります。

一つは、細小動脈の内壁が何らかの原因で障害され、血管内皮細胞の持つ抗血小板機能が失われ、同所で血小板の凝集、消費が進む場合です。

もう一つは、互いの血小板をくっつける「分子糊」として知られている血漿フォンビルブランド因子(von Willebrandfactor; VWF)というのがありますが、これを切断する肝臓由来酵素の活性(VWF-cleaving protease; VWF-CP)、別名ADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)、が無いために、非常に分子量の大きなVWFマルチマー(unusually-large VWF multimer; UL-VWFM)が血中に蓄積し、血管内で血小板血栓がどんどんできる状態となるものです。

因に、細小動脈の血管内径は小さく、また血流も非常に速いのですが、このような条件下では物体を歪まそうとする物理的な力、"ずり応力"、が強く生じ、前二者の血小板血栓形成に拍車がかかる状態となります。

またこの"ずり応力"を高めるもう一つの要因として、血液の粘度上昇があります。

即ち、高体温や運動負荷後などで脱水症状が見られる時などです。

(1)細小血管の内皮細胞障害の原因
1)自己免疫疾患による血管炎、 2)病原大腸菌O157:H7株が産生する毒素ベロトキシンが血管内皮細胞上の受容体(Gb3)に結合、 3)抗癌剤などの薬剤、4)放射線照射など。→HUS型

(2)血漿ADAMTS13活性著減の原因
1)ADAMTS13活性の先天性欠損、2)後天性にADAMTS13に対する自己抗体(IgG型中和抗体、IgM型非中和抗体)の産生;原因不明、薬物、妊娠、HIV感染、悪性腫瘍など、 3)重篤肝機能障害など。→TTP型

5. この病気は遺伝するのですか
上記のUpshaw-Schulman症候群は第9染色体上にあるADAMTS13遺伝子の異常に基づく先天性TTPで、遺伝形式は見かけ上常染色体劣性を示します。即ち、患者の両親は保因者ではあるが無症状です。

一方、患者さんでこの遺伝子のホモ接合体を示す例は稀で、多くは両親から異なったADAMTS13遺伝子異常を引き継ぐ、いわゆる複合型ヘテロ接合体です。

一方、後天性TTP の遺伝性は認められていません。