・禁忌 [編集]
皮下投与 [編集]
β遮断薬など、いくつかの心臓病薬、高血圧薬。
舌下投与 [編集]
免疫系の全身疾患、重症または制御できていない気管支喘息、潰瘍性口腔扁平苔癬や重症の口内真菌症のような重症の口腔内の炎症を持つ患者。
治療用アレルゲン錠は種類ごとに使用し、異なるアレルゲン成分を持つものの併用も禁忌である[3]。
アレルゲン免疫療法の副作用 [編集]
皮下投与 [編集]
注射した部位にかゆみ、腫れ、発赤が見られる。蕁麻疹やアナフィラキシーなどのような全身症状も稀にあり、場合によっては緊急治療が必要である。
治療を中断し、適切な加療を行う。
適応を再度判断し、継続の場合は投与量を安全な量に再調整する。
投与直後の重篤な副作用が発生しないことの確認のために、初回~3回目までは、投与後20—30分観察が求められる。
投与前後の数時間の間の激しい運動や体温上昇を避けると、これらの全身症状のリスクや副作用は軽減される。[要出典]
舌下投与 [編集]
副作用は一般には穏やかであり、局所反応にとどまる。
口内の掻痒感、軽度の口唇の浮腫、耳の掻痒感、喉の炎症、くしゃみ。
まれに頭痛、口内感覚異常、目のかゆみ、結膜炎、咳、喘息、咽頭炎、鼻みず、鼻詰まり、咽喉絞扼感、掻痒、けん怠感。通常治療後数分—数時間で収まり、投与開始後1—7日で現れなくなる[要出典]。
喘息発作等の重篤な副作用のために、初回のアレルゲン投与後30分は医師の観察が推奨される[3][14]。
標準化アレルゲンエキス [編集]
投与量のコントロールや適応の判断のため、皮下投与では、アレルゲンエキスの持つ生物学的活性濃度が明確であるべきである。
少量では効果が期待できない一方、過量では重篤な副作用のリスクが高くなる。
また、治療期間は数年にもわたる故、生物学的活性濃度が一定に保障された標準化アレルゲンエキスが治療効果を向上させる上で重要である。
2007年時点で、米国では数十種類の標準化アレルゲンエキスが上市されているのに対し、日本において上市されている治療用標準化アレルゲンエキスは、スギ、アカマツ、ソバ、ハウスダスト、アスベルギルスのみである。
日本においても標準化アレルゲンの多様化が期待される。
変法 [編集]
アレルゲン免疫療法にはさまざまな変法が存在する。
古くから臨床治療に応用され確立された方法から臨床研究途上のものまでさまざまな段階のものがある。
急速減感作療法 [編集]
昭和大学病院等で研究がすすめられている。
数時間ごとに体内にアレルゲンを皮下投与し、短期間での効果を期待する。ただし、アナフィラキシーショックなど重篤な副作用の危険もあり、入院し、厳重な監視下のもとで行われることが多い。
非特異的アレルゲン免疫療法 [編集]
最大の利点は、皮下投与による重篤な副作用のリスク回避が期待される点である。
日本ではヒスタミン加人免疫グロブリン(ヒスタグロビン)やワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン)が医薬品として承認されており、これらを数回にわたって皮下投与する、抗原特異的ではないアレルゲン免疫療法もある[要出典]が、一部の医療機関を除き近年はあまり実施されない(これらをアレルゲン免疫療法に含めないこともある)。
アレルゲンが特定できない場合に行われたり、特異的減感作の効果をあげるために並行して行われることもある。
アレルギー疾患患者の尿から採取した抗アレルギー物質であるMSアンチゲンも使われてきたが、現在は製造を終了している。
また、結核菌抗原であるBCGを非特異的減感作療法に適応した早期臨床試験(小規模臨床試験)では初回投与からIgEが1/3に低下する成績も見られた[15][16]